このレビューはネタバレを含みます
冒険の終わり、から始まる物語。
はじめに物語の結末を見せてから、回想していく構成かなと、想像し見ていると、どうもそうではなく、10年に及ぶ冒険で、世界を救った主人公フリーレンが、その後の世界を生きる姿を描く。
多くのアニメや漫画作品で、何年、何十年と続いているにも関わらず、作品内の時間が停止している作品が多い中で、この作品では、時間の流れが異常に早い。若くイケメンだった勇者が、数分後には禿げ上がった老人になり、幼く未熟だった女の子が、次話では一人前の魔法使いに成長している。めまぐるしい勢いで時間が過ぎていく中で、エルフ族である主人公だけは同じ姿のままであり、その姿とは似つかない感情が見えづらい表情も相まって、日々をたんたんと生きているように映る。一方で対比としての人間は、感情豊かで、ともすれば自分勝手。だが、始めはわずらしいと感じていたフリーレンの心が次第に変化していく様子が押し付けがましくなく描かれている。悪いニュースが多い昨今、気持ちも暗くなりがちだが、人間も、人付き合いも、世の中も、色々あるけど愛おしく、大事に生きていきたいと思える作品。色んなことに嫌気がさしている人に是非みてほしい作品。