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海の闇、月の影のSariのレビュー・感想・評価

海の闇、月の影(1989年製作のアニメ)
3.0
篠原先生自身が最も上手く描けたと自称しているように、まさに篠原千絵の全盛期の代表的な傑作『海の闇、月の影』のアニメーション化作品である。

小学館刊行『週刊少女コミック』に連載され、1989年に全3巻オリジナルビデオで発売された。
 
漫画本全18巻を、3つのエピソードに手堅くまとめた感じで、原作漫画のもつミステリアスな雰囲気には及ばないが、アニメも悪くはない。

一卵性双生児の美しい姉妹、小早川流水・流風が、同じ高校で同じ陸上部の先輩・当麻克之に恋する。克之が選んだのは妹の流風。そんなとき陸上部で訪れた古墳で、古代ウイルスに侵され、唯一適応し生き残った姉妹は超能力を手に入れる。面倒見がよく優しかった姉の流水はウイルスによって負の感情を増幅されられ、宙に浮く身体やウイルスをキスで感染させ他人を洗脳し、物体と人体を貫通し殺害する恐ろしい力で、様々な罠をしかけ流風を殺そうとする。

克之に対する流水の執着、執念が恐ろしい愛憎物であり、月の満ち欠けに連動するミステリアスな展開に、原作漫画で印象的だった、あの流水の目つきの変わり様が再現されているので安心した。日中のカラー画面が、夜のシーンで青に暗転する様や、大きな満月をバックに宙に浮く姉妹の対決シーンを動く絵で見られたのは感慨深いものがあった。

小学生の頃に初めて読んだ篠原千絵『闇のパープルアイ』。夢中になり、次作『海の闇、月の影』、『倫子の心霊事件簿』等も同様に漫画本を全巻揃えていたが、大人になって全て処分してしまった。ふと思い出しては読み返したくなる漫画で、アニメ化されていた事ははっきりと記憶にはなく、この動画を見つけて思い出した次第である。人生で初めて買ったCDが「海の闇、月の影」のサントラで、このアニメの中で使われている曲ではなく、全曲が横文字タイトルの洋楽(風)のイメージアルバムだったことを思い出す。
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