今日はアニメ特選。
子供の頃から原作者、松井優征の漫画に親しんだ身としては絶対に面白いことは疑う余地もないが、今回は過去作にない歴史上に実在した武将、北条時行が主人公となるこれまでにない挑戦となる。しかも鎌倉時代から室町時代の変革の最中を描くのは相当なハードルであり、どのような作品になるかは見通せないものであった。
しかし作者は本作を血で血を洗う戦を正面から描きつつコメディもこなし、更に日本の、世界の映画アニメゲーム漫画ありとあらゆるカルチャーを内包し煮詰めてみせた。そして何より松井節の特徴ある寄生獣を飼ってるかのようなキャラクター達は健在で正にプロ中のプロであることを三度知らしめた。
さて本題アニメの話。作中の血みどろの抗争もナレーションでぼかす事なくしっかり描き切り、さらにアニメという音楽と動画でのアドバンテージを活かした類まれなる冒険活劇になっている。北条時行のオリジンとして仲間を引き入れ力を蓄えるエピソードをワンクールという短い期間で1話1話を濃密に作られている。ようやく松井優征が描く世界観を余すことなく描ける時代がやって来たんだなと思うと実に感慨深い。
ただ忠実に作るだけでなく、制作のCloverWorksが「ぼっち・ざ・ろっく!」で編み出したコメディを隠し味に添えて俗に言うきららジャンプやぼざろっぽいようなキャラクターの動きなどが本当にクスリと笑える。
本当に2024年はTVアニメ豊作の1年と言える名作がズラリと並ぶ中で一際輝く本作を観ない手はない。是非ともイッキ見がオススメだ。(中村悠一が演じる諏訪頼重がまぁ五条先生チックなのは意図的かもしれんが「死滅回遊」では出番がないのでいい繋ぎを射止めたなと感心する)