鎌倉幕府再興を遂げたという隠れた名将・北条時行。足利尊氏の謀反により一族を虐殺された彼の知られざる生涯を『暗殺教室』の松井優征が漫画化、後にアニメ化されたのが本作。鎌倉幕府もほぼ壊滅状態となった激動の時代を描くために、松井優征のややポップな作風がマッチするのか不安ではあったが、厳粛かつ壮大で取っつきにくい題材を歴史初心者でも分かりやすく、そして少年ジャンプらしく脚色しているため、かなり見易い。桃鉄など明らかに現代チックに描写しすぎな面はあるものの、時行一行らが置かれた状況の分かりやすい解説として上手く機能している。
それでいてcloverworksによる洗練された動きの作画を堪能でき、更には女性子供にも容赦のない残虐描写についても主人公は逃げるが制作陣は一切逃げない。尊氏による最早人間離れした惨殺シーンは地上波で流すには中々ショッキング過ぎたのではないだろうか。それでも妥協のない合戦シーン、流血、暴力の数々により本作の訴える、死ぬことを美化せず生きることを渇望する本作とリンクする。
期待していなかった分、重くなり過ぎず、だからといって妥協しない作風が素晴らしく、かなり楽しめた。中途半端なところで終わった分、2期も楽しみだ。