彦次郎

スナックバス江の彦次郎のレビュー・感想・評価

スナックバス江(2024年製作のアニメ)
3.4
北海道は札幌市北24条にある場末のスナック「バス江」を舞台にしたギャグアニメ。
ボケとツッコミの両方できるチーママ明美を主役に真面目サラリーマン山田、山田の先輩で軽薄色黒野郎な風間、常連オッサンのタツ兄、童貞森田、ダグラス浜田信者の東などのレギュラー客、そしてゲスト客が来店してトークをかましていくという展開です。ちなみに髪が尖った金髪姉ちゃん明美がタイトルの「バス江」と勘違いされる向き(当然小雨ちゃんは違う)もあるでしょうが、「バス江」ママはリーゼントサングラスの老婆です。
原作は2017年から連載されています(2024年現在連載中)が1巻辺りでアニメ化したいから絵柄をそっち方面に寄せるというギャグをされていました。それから幾星霜、ついにアニメ化という快挙を成し遂げたわけです。
原作はショート漫画なので文字に作者による特殊なルビを振りつつ緩そうでハイテンポな会話の応酬を楽しむ話芸漫画として認識しておりますがアニメ版はそれとは別物になっていました。美麗な背景画にまったりというか緩く展開していくもので公共電波の関係で猫の回のアニメ監督人名がなくなったりと毒っ気も相当に薄れています(一応配信限定第13話は攻めた内容になっている)。なによりもやはりテンポが遅く感じます。同じ集英社アニメでも『斉木楠雄のψ難』や『僕とロボコ』といったテンポ重視にしてかなり面白かった作品があるなかで本作がこのような展開になったのが原作ファンからすると残念。それでも勇者回で出てくる魔王の声優が子安武人氏だったり、『夢を信じで』を歌うくだりはアニメならではでしょう。歌といえば本作の特徴としてエンディング曲は毎回スナック曲というか懐かしの名曲を各キャラクターたちが歌う演出もスナックというテーマに合っていたと思います。つまり漫画と異なりダラダラと流し続けるのに適した環境アニメというジャンルに変更されたということでしょう。その意味では楽しい作品。
以上は見当違いに当たるかもしれませんが連載第1話から拝読して全巻購入している者の戯言として捉えていただけると幸いです。
※アニメ版の監督が炎上した件についてはここでは記しません。

余談。
アニメの放映が終わって間もない2024年4月9日午後8時にネメシスなる人物による自主アニメがYoutubeにアップされました。原作がそのままアニメになったというべきクオリティで『None Of Us Are Free(ありのままの私を見て)』が視聴できます(https://www.youtube.com/watch?v=Gb4xzSX71Lo)。ネメシス氏はこの1本のみの投稿になっておりますが2024年7月時点で再生回数113万回!
作者であるフォビドゥン澁川先生が投稿から2分後に動画をシェアされているということや投稿主のネメシスの意味が”ギリシア神話の女神、不当な事柄に対する義憤、とくに人間の高慢な言動に対する神の怒りと、神罰としての報復の擬人化と解釈されている。”(youtubeのコメント欄より引用)となっていることから『セクシー田中さん』事件のような改変に対する作者のアニメ版に対する「答え」ではないかとされていますが果たして真相は…。ただ原作ファンからしてもこの動画のようなアニメ版を期待していたことは正直に述べておきます。
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