シズヲ

LAZARUS ラザロのシズヲのレビュー・感想・評価

LAZARUS ラザロ(2025年製作のアニメ)
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この時点で最新の4話まで視聴。渡辺信一郎監督ということもあり表層的にはカウボーイビバップなどの系譜っぽいけど、実際の所は寧ろ純粋にハリウッドライクのエンタメ作品のような感触。30日という作中のタイムリミットも相俟って、ビバップやサムライチャンプルーなどと違い“脇道に逸れて遊び心を挟み込む余裕”が存在しないという印象が強い。ビバップなどに見られた哀愁や余韻の要素も薄く、結果として純然たるアクション映画風味のアニメーションになっている。推測されるテーマ性やスキナー博士の人物像、随所の世界観などもハリウッドっぽい。本作において最も渡辺監督作らしさを感じる部分があるとすれば、終始ハイセンスな劇伴だと思う。この辺りの感性はやっぱりずっと冴え渡っている。

そもそもラザロのメンバーだけで調査せねばならない意義が曖昧だったり、その割には毎度虱潰しの調査の連続だったりなど、設定の大雑把さが外連味によって濁されている感はある。多分そこは意図的な作風なのだと思うけど、話の構成は今のところ正直あまり楽しくはない。博士の手掛かり→現場調査→空振り→また別の手掛かり……という流れが続いており、最終目標地点への能動的な前進に乏しい印象。脚本という意味でも深みに乏しく、どこか保守的かつ表層的な雰囲気が否めない。

それだけに本作の良さは専ら近未来社会の雑多なビジュアル、前述した劇伴のセンス、そしてチャド・スタエルスキが監修しているスタイリッシュなアクションにこそあると思う。そういう意味でも話の全てをアクセルのスタントに集約させた1話が抜きん出て面白い。アクセル以外の面々のキャラ立ちはまちまちなので、もうちょっと前面に出てほしくはある。
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