あこ

忘却バッテリーのあこのネタバレレビュー・内容・結末

忘却バッテリー(2024年製作のアニメ)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

全12話。

 野球を忘れたかった少年たちが無名高校で再び夢を見る話。

 いや〜〜〜〜おもしろかった。宮野真守もすごいけど梶裕貴の被せるようなツッコミがなきゃここまで光らないでしょ!!ダブル主人公と言うのであれば間違いなく要圭と山田太郎じゃん、と思う。

 『忘却』バッテリー……深いですよ、このタイトル。
表向きは記憶喪失になった要圭のことを指しているんだろうけど、よくよく考えると主要キャラたちもこぞって野球を忘れようと藻掻いた節がある。
 そもそも"心を亡くす"ほどのダメージを受けるから"忘却"という防衛本能が現れるわけで、逃げられた要圭⇔逃げられなかったその他 という構図が切ないなあと思う。

 小手指高校のみんなはいいですよ、これから勝ち馬に乗るんだから。
かわいそうなのはその周りで、冷たいことを言うようだけど清峰・要コンビが存在する限りこれからも心を亡くす人は増えていくのだと思う。
 そして智将・要圭…………アニメ終盤で語られてたけど、相手バッターの顔がよく見えてただけじゃないでしょ。彼の地頭の良さを察するに、自分が心を折った相手のことはちゃんと覚えてしまっているタイプとみた。
だから耐えきれなくて壊れてしまったんだな。

 忘却が彼にとって自分自身を救う一手だったはずなのに、再び野球に出会い、再び野球の魅力にハマってしまい、そしていつか誰かの心を亡くす。マジで逃げられないじゃん、要圭。誰か救ってあげて!!!!

 ボケとツッコミのバランスが軽妙で何も考えなければ手放しにガハハ!と笑えるからこそ、根っこの部分にあるやるせなさに気づいたときに血の気が引いてしまう…味わい深い作品でした。良。
あこ

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