令和の世の中でロックを貫くことはどういうことになるか?を徹底的に描き切った作品。ロックとはジャンルを超えた生き様であり、それは隷属を拒否する叛逆の狼煙でもある。
主人公の仁菜は一見すると恐ろしくクレイジーで、また非常に幼く、自己欺瞞を許すことのできないタイプの人間である。その妥協なき周囲との衝突ぶりにアニメらしい刃引きされた表現や手抜かりは一切なく、見ててその幼稚さに苛立ちを感じるほどにリアルでありながら、何もかも曝け出しているというのが伝わってくるのが凄い。
しかしながら、後半から最後にかけては親子関係の改善はわりと安牌を切った解決だなと思ったし、特に最後のダイダスとの対バンエピソードはかなり賛否がありそうな感じで、主義を貫くためには仕方ないとは思うものの、やはり肩透かしな点は否めず、結局後始末や尻拭いを見ても大人の力と庇護を否定しきれなかったようにも感じてしまった。ただ、ご都合主義による救済を肯定してしまえば、それは間違ってしまったことを認めるしかないのと同義で、作品レベルでそれを全力で拒否したと見えなくもない。
あと、最後の歌がいかにもインディで人気なバンドがメジャーデビューしたときの曲のような感じで、そりゃイメージと違えば再生回数伸びないわな……みたいな妙なリアルさがあった。曲自体はとてもいいとは思うけど、個人的にはOP曲が一番よかったように思う。