『正しさよりも、間違ってないと叫んでこそのドラマ』
高校を中退し上京してきた少女が自分を勇気づけた曲の作者とバンドを組む酒井和男監督作品は、弱男の拠り所となることを暗黙のルールとしていたジャンルに引導を渡すに留まらず、フルCGの転換点となる演奏シーンにブチ抜かれるガールズバンドアニメの最高傑作。
近年特級クラスの原作と渡り合ってきたシリーズ構成がここにきて覚醒を迎えたと言うしかなく、昨年度ベスト級のマイゴを児戯に等しいと思わせしめる理性と感情の波の凄まじさに、これと同クールどころか題材も被ってしまった夜クラが気の毒で気の毒で仕方がない。
CGアニメだからと避けていた時のイメージはとにかく主人公の性格が悪いという民意の存在で、作品が魅力的であればあるほどにつまらん連中が湧いて出てくるのもこの世の常だが、そんな現象すらも孤独ではなく強者の受ける愛と達観する作家性に惚れ惚れするのだ。