放映終了からしばらく時間が経ってある程度咀嚼できたので書いてみる
もしかしたらTVアニメにおけるマイルストーンになる作品かも。
こればかりはより長い期間をおいてみないと分からないけど…それくらいのインパクトがあった。
本作の素晴らしい点は複数あるが、これだけのプロジェクトをまとめ上げた制作体制にまず拍手を送りたい。
脚本の素晴らしさについては特に感銘を受けた。
登場人物が心の底から感情をぶつけ合う作品も稀だが、戦争やロボットファンタジーなどのギミックもなしにここまで魂や尊厳を賭けてぶつかり合う人間ドラマはちょっと思い当たらなかった。
自分は前情報もなく何となく観始めたので、
主人公達に声をあてているのがオーディションで選ばれたバンドメンバーだということを終盤まで知らなかった。
演技については否定的な意見も見られるが自分は全くそうは思わず違和感はなかった。
むしろ本職の声優より自然で、時に感情を強く出す演技なども凄まじい表現力で心揺さぶられる。
本人達の素養もだが演技指導が素晴らしいのだと思う。
バンドメンバーが声を当て、演奏しているのでライブシーンとの一貫性もあり没入感を高めている。
アニメーションはほぼ全編3Dだが、モーションキャプチャが多用されているためモデリングされた人形が動いている感じは一切なくTVアニメでこれだけの映像が作れるのかと驚きを感じるほど。
2Dアニメーション的なコミカルなシーンと感情をぶつけ合う脚本を余すところなく表現し切る演出力は日本のアニメーションの一つの到達点では無いだろうか。
少なくともここ最近のディズニーの長編アニメーションよりは優れていると感じた。
物語の舞台となる川崎を始め舞台背景も緻密に描かれており、こういった細かいディテールの積み重ねがより一層物語のリアリティを高めている。
劇中のトゲナシトゲアリは確かに川崎に存在し、
現実のトゲナシトゲアリへと繋がっている。
