ぼっちザうぉっちゃー

ガールズバンドクライのぼっちザうぉっちゃーのレビュー・感想・評価

ガールズバンドクライ(2024年製作のアニメ)
4.3
おもしれぇオリジナルアニメ。

 正義を掲げる主人公が、物分かりのいい、配慮のできる大人な子どもたちの心中を搔き乱しつつ、あらゆる理不尽に物申していく様は、学園系や働く人系の痛快世直し譚のような古典的プロットにも思えて、入りやすかった。
しかし結局、主人公・井芹仁菜のめんどくささとひん曲がりの暴走っぷりが予想以上で、乗せられた。というか振り回された感覚だった。
それでも初期衝動や根底には桃花の音楽と言葉の影響があるところや、その他のキャラクターとのお節介とエゴの引っ張り合いみたいな関係値がとても推せるところでもあった。

 至極個人的な動機というか私怨で始めたバンド。そのくせ目標は武道館という王道。しかしそこはやはりアウトサイダー、「歌で世界を幸せに」なんてものじゃなく、ただただ「自分を認めさせる」「自分は間違っていないことを証明する」ために目指す頂。インディーズの野心が感じられるというか何というか、バンドものに定められた宿命にすらただでは従わぬという反骨心がもはや清々しかった。
さらにはせっかく決まった事務所も抜けるという破天荒ぷり。もはやアウトロー。女子高生がバンド、じゃなく「予備校生がバンド」な導入から文字通り「アウト」で「ロー」なところを攻めていく。

 高校というウェットなフィールドから抜け出て都会の街でドライな交わりに直面しつつ、しかし仁菜自身はウェットな過去に固執し執着し、凝固しベタついたまま進行し、そして最終的に、陰キャVS陽キャではなく、陰キャVS陰キャの構図へと向かっていくのが新鮮で、芯のぶれなさを感じた。

 アニメーションとしては、CGとしてのぬるぬる感より、よりリアリティのあるもっさり感があり温かみがあって良かった。
オーラみたいなエフェクトに、リッチなライブ演出、CGだからこそ出る質感と細かい挙動の演出の数々もすごく面白かった。

青臭い生き様の途中のような形で終わりはしたけれど、もともと大団円なんてありはしない物語な気もするので、なんだかんだ道中楽しめました。