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響け!ユーフォニアムのHALのレビュー・感想・評価

響け!ユーフォニアム(2015年製作のアニメ)
4.4
『響け!ユーフォニアム』第3話まで。すごくいい作品だな……ゆっくりと、粘り強く、一年生たち三人の言葉(と一人の演奏)で失われつつあるしかし長い三年間のはじまりが生きられている。"まだ何も起きていない"そんな青春としか呼べなそうなじわじわと焦げる時間に不意に泣きそうになるのも仕方ない。

まだ5話だけど、わりと泣きそうになりながら見ています。

ダメだ、まさかこの曲をやるなんて 泣くでしょこんなの

11話観たけどなんか釈然としないわ……先生が直接香織さんにあなたがやりますか?って聞くのプレッシャー利かせててひどいなと思ってしまったし、新任顧問とはいえかなりやばい空気でコンクール迎えるんじゃないかと思ってしまう。拍手しなかった部員たちに感情移入しすぎかもしれん。そして久美子と麗奈のやり取りは遠い星のできごとみたいな目で見てしまっている……

あすか先輩と夏紀先輩にばかり目がいってしまう。優子さんは誠実だと思った。学年ごとの成熟度合いというか、そういうのがめっちゃ丁寧に描かれてるから久美子と麗奈にうーん……ってなりつつも期待して先を観ようって思える。なんか生徒側の要望に折れる形でオーディションで決めるって話にして同意してたのにそれに拍手しないのってさらに歪な抵抗だと思うんだけど、それについて触れないのはやっぱり問題から目を逸らしてとりあえず決定しちゃうみたいに見えるんだよな……拍手した/しないの分断すら生まれそうというか。俺が一番もやもやしてるの、それが滝先生の弱さとして描かれてるのかただそうなってしまっているのかってところがわからないからかもしれない。

12話からの最終話、かなりここが掘り下げられていってる。なんかこう、大会の終わりとか始まりとか、自分はこの瞬間にここにいるんだなって急に実感する瞬間があるんだよな……なんでこの部活に入ったのかとかが氷解する。まぁ学校ものは職業柄敏感になりがちなんだけど(教員側としても生徒としても)、そのリアリティラインが高いからこうなってるんだろうなと思う。滝先生はすこしマッチョイズムになりかねないかとか思っちゃうんだけど、それは吹奏楽とか音楽とか競技そのものがそういったものを抜くことがある種できないのもあるよなと思った。

なんかかなり緊張して見始めたけど、主人公がどこか感情の表出の仕方を忘れてしまったようなところから熱さを取り戻してゆき、周りの人間模様が非常に分厚く描かれていくのであっという間に観てしまった。すごい面白いと思うが、その分観ているこちらの感情もかなり揺さぶられるというか、一年生の一人のようになんだそれ!?って滝先生に疑義を呈しながら観てしまった。主人公の久美子と麗奈の関係性はちょっと二人の世界がオーバー過ぎてついていけないところもあるけど。シーズン2はさらにすごいことになりそうなので、これから観るのが楽しみです。
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