響けシリーズ集大成。
1年生編を通して描かれた青春の価値と、2年生編を通して描かれた大人への転換点を交錯させつつ、同時並行であった「北宇治」と「進路」が融和して「子供と大人」のキーワードを全て回収したのが12話であっただろう。
特に焦点をあてられたソリ対決だが、黒江真由を久美子の演奏技術を伸ばす外部因子とした勧善懲悪にするのは「"特別"の瓦解」という方向性とそぐわないし、黒江真由が救われない。山王の沢北の言葉を借りるとするなら、「俺に必要な経験」であり、これは一地点の物語ではなく長い人生の物語なのである。
黒江真由が危惧していたのは自分の存在により拒絶する人が生まれることであった。久美子は結果発表後も"自分"を出せる北宇治を作り、久美子と向き合う事が出来たことは黒江真由の何者にも変え難い救済である。本シリーズは久美子と麗奈の目線で物語が進行するから、勝利の価値や"特別"との出会いを前面に押し出してるようにみえるけど、黒江真由のような人間も尊重されていいし、同時に麗奈への尊重は忘れずに過程の価値を描いた3期の完成度である。
極論、人と人は分かり合えない。黒江真由は久美子の方法(道)を正しいとは思わないし、この2人は分かりあっているわけではないんだけど、対話すること、向き合うことでの融和は本シリーズがずっと描いてきたことである。
ユーフォ3は終わったんだけど始まったのかな。今日の自分が明日の自分へ。撒いた種が芽を開くのを信じて──。