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響け!ユーフォニアム3のhirokiのネタバレレビュー・内容・結末

響け!ユーフォニアム3(2024年製作のアニメ)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

3年生になり、高校生活最後の大会に向けて練習に励む久美子たち。そこに久美子と同じユーフォニアム奏者の黒江真由が転入してくる。どこか憧れのあすか先輩のような綺麗な音を奏でる彼女を前に、久美子の心の奥底で動揺の音が鳴り始める。

響けユーフォニアムシリーズ最終章。ついに集大成となった久美子たちの代での全国大会金賞への道のりを描いた作品。

今作は、黒江真由という転入生が穏やかだった部内に波乱を巻き起こす展開だった。何事も変わらない方が楽で、人間関係も今まで通りであればうまくいく。しかし、全国で金を取るためには、今まで通りでは取れない。何かを変えなければいけない。その思いから顧問の滝先生や、久美子や麗奈など部の幹部たちは、大会ごとにオーディションでメンバーを選出することを決める。

最後の大会、全国で一緒にソロを吹きたいという、久美子と麗奈の想いがある中で、現実はとても残酷だった。ユーフォニアムパートのソロを決めるオーディションで、久美子と真由を天秤にかけた時に、麗奈の1票がソロメンバーを決することになる。そこで麗奈は大親友の久美子ではなく真由を選んだのだった。

自分の感情は度外視して、客観的にどちらの音がいいかだけを重視して選んだ麗奈の本気の決意が感じられるシーンだった。そして、その麗奈の選択さえもわかって受け入れる久美子の強さも同時に感じた。とても悔しいし悲しいはずなのに、勝つことを1番に考える2人の本気さが伝わって、とても感動した。

黒江真由という子は、何度も自分からオーディションを辞退しようかと久美子に話を持ちかける意地悪い人物として初めは映っていた。しかし、彼女の音楽に対する想いは久美子たちと何ら変わりはなく、ただ、自分が選ばれることによって周りのみんなに嫌われるのが嫌だっただけだった。一生懸命に努力して、正々堂々と勝負して、勝っても負けてもお互いの健闘を讃えあい、自分の結果を受け止めることができる、そんな人間でありたいし、そんな人たちの集団の中にいたいと、この作品を見てすごく感じた。北宇治高校吹奏楽部は間違いなくそんな素敵な集団であり、それを作り上げたのは久美子や麗奈の本気の想いであった。

本当に最高の作品だった。これからも定期的に見返したいなと思う。

「そして、次の曲が始まるのです。」
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