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烏は主を選ばないのおはうちのレビュー・感想・評価

烏は主を選ばない(2024年製作のアニメ)
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最終話のドンデン返しで仰天させられる一点張りで薦めたい、よく出来たミステリーです。最近の潮流的に惹きつけられるキテレツな設定やキャラの濃さを序盤で見せられず、毎話の盛り上がりに欠けて薄味は否めない。が、最後は強い。試しに観て!あと薬屋のひとりごとに似ていてるよね。



しかしながら、原作既読の身からすると、ポテンシャルの半分も活かせていないのが実際は歯痒い。『烏に単は似合わない』と『烏は主を選ばない』の良いとこどりにもなれていない、それぞれの見せ場のインパクトを打ち消し合って半減させているのが勿体無い。

二冊の小説の時系列的が同じでシンクロ率が高いのは事実だが、それはそれ、これはこれ、あくまでも別個のストーリーライン上で展開させる個別のストーリーに違いはないのだ。並列させる事の長所が無い。二つを合わせた長所を見出して伸ばそうとする痕跡も見当たらないのが現状だった。

『烏に単は似合わない』は若宮不在だから活きるストーリーがミステリアスで面白いのに、『烏は主を選ばない』と並列させる為に若宮が常時出突っ張りになっているのが、なんとも面白さを減退させてしまっていた。想定はされていたのだろうが、その半減ぷりは絶大かと思う。

小説のファンほどアニメのパンチの弱さが際立っていたと思う。何故こうも若宮暗殺がまるで盛り上がらないのか頭を悩ませた。路近が参戦した時の頼もしさが弱すぎて悩んだ。

『烏は主を選ばない』サイドのストーリーが単に消化試合になっていたのが残念だった。捕まった敦房と雪哉の面会シーンも思ったほどのインパクトを込められてない。あくまで最終回に向けてセッティングしていたのは『烏に単は似合わない』であるからだろう。この見せ場を見せ場にしきれない引っ張り合いには頭を抱えた。


『烏に単は似合わない』は傑作だと思っていただけに、想定よりもパンチ力が下がった状態でのクライマックスはシンドかった。

アニメ化に伴い一番素晴らしかったのは、本泉莉奈のあせびだった。含みはあるが純真無垢の結晶を見事演じて見せていた。

釘宮理恵の白珠も大変よかった。壊れてしまって甘い声を出してしまう芝居が恐ろしかった、ここでそのロリ声を使うか!

何にしても原作が広く読まれるキッカケになってくれたら良いと思います。
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