八咫烏

星降る王国のニナの八咫烏のレビュー・感想・評価

星降る王国のニナ(2024年製作のアニメ)
3.5
いや最終回よ。。
今クールではダンダダンに次ぐくらい「ここで終わるのかぁ」だけど、あちらは2期が決まっている。
こちらの方が罪深いよ笑

主人公は姫君の身代わりとなった孤児のニナ。
ストーリーはニナを姫に仕立て上げた王子と敵国の王子、2人の王子とニナの三角関係が軸になっている。

作画は原作勢が満足する出来ではなかったかもしれないが、第1話のクオリティを最後まで保っていたと思う。そういう意味では作画崩れも無く丁寧だった。
ニナの衣装が毎回変わるなどキャラデザには工夫が見えたし、後から登場してハンデ戦を強いられたセトのバックグラウンドを、よりじっくり見せたりとツボは押さえようとしていたのも感じた。

ただニ国間の戦争を回避せんと奮闘する物語にしては、チープな印象は拭えなかった。
原因はいくつかあるのだが、一つには背景があると思う。中でもニナの心情を表す効果背景が、少女漫画のキラキラを意識してなのかひねりもないし安っぽい。

二つめはニナのキャラ。作中で何度も出てくるが「汚れなき」に寄りすぎている。
物は知らずとも地頭の良さが伺える描写を入れるとか、キャラの表現にメリハリが欲しい。
アズールとセトがどちらも落ち着いたキャラなだけに、ニナとの乖離が引っかかる(まぁこれは自分の好みの問題だが)
モノローグはいくら子供っぽくてもいいと思う。
周囲を巻き込む突飛な行動もいいのだが、だからこそ表面上はもうちょっとトーンを落とした方が、いざキレたり啖呵を切ったりした時にカタルシスが生まれて、ニナというキャラに奥行きができたと思う。

三つめは構成。1秒を惜しんで詰め込んだのは分かるが、サクサク進む展開にはまるで余韻がない。
こういったテーマなら、もっとエモーショナルな気分にさせて欲しかった。
印象的だったのは、ニナが感情を激しく吐露するシーン。
拳で相手を叩きながら訴えているのだが、「ポコポコ」叩く様が同情心を萎えさせる。
こういったシーンも、カメラワークやアングル、音の演出で多少は補完できたのではと思うと、惜しい気がしてしまう。

とはいえ三角関係はもちろん嫌いじゃないし、大河ドラマ風味の設定も悪くはなかった。
色々言ったけど、量産されるあまり原作に対するリスペクトに欠いたアニメも多い中で、今作はそういった作品ではなかったと思う。
2期やってもいいと思うけどね。
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