このレビューはネタバレを含みます
以前どこかで書いたが、ワシは1stガンダムのリアルタイム世代。
しかしながら、全くと言っていいほどガンダムは観てない。
ザクとドムとグフの違いすらわからんワシだけど、この『ガンダム 復讐のレクイエム』はちょっと興味あった。
でも、ガンダムのこと全然わからないので二の足を踏んでたんだよね。
そんな折、とあるYoutubeチャンネルを観た。
そこでチャンネル主が、この作品について「あまりガンダム知らなくても楽しめる」って言ってたので、早速観た。
物語の舞台は、一年戦争と呼ばれる1stガンダムの時代。
本作ではジオン公国軍側からの視点で、連邦軍の新型モビルスーツ“ガンダム”との戦いが描かれる。
主人公は元バイオリニストで、現在はジオン軍MS部隊のレッドウルフ隊の女性隊長イリヤ・ソラリ大尉。
連邦軍を撃破し、進軍を続けるジオン軍の前に立ちはだかったのは、連邦の新型モビルスーツ・ガンダム。
その性能は桁違いで、たった1機のガンダムによってジオンの大隊は壊滅状態となり、ジオン軍モビルスーツも蹴散らされる。
圧倒的な力の差と、無慈悲なまでの攻撃の様子から、ガンダムは“白い悪魔”と異名をとることになる。
本作は1話約30分、全6話の物語。
アニメのガンダムのノリは一切わからないので、ワシは戦争映画的なノリで観てた。
とにかく1話目から、ガンダムの“白い悪魔”ぶりがスゴくて魅了された!
ビームライフル一発で装甲を打ち抜き、サーベルの一振りで機体を真っ二つ。
その反則的なまでの強さは、絶対的ヒールの存在感。
目を光らせながら夜の闇に佇む姿は、ホラー映画で獲物を狙う殺人鬼かモンスターのよう!?
そんな“白い悪魔”に対するジオン軍は、主人公・イリヤ大尉を中心とした混成部隊。
もうね、ガンダムにズタズタにやられちゃって、その生き残りたちで立ち向かうワケ。
しかもモビルスーツはとっくにブチ壊され、やっとこさ手に入れたのはスクラップの寄せ集め機体。
状況的にも、モビルスーツの性能的にも、到底勝ち目のない戦いに臨むイリヤたち。
悲壮感すら漂わせながら、任務や役割を全うしようとする姿は感動的だ。
またガンダムの世界の中に、現実の戦争にも通じる普遍的なテーマがしっかり織り込まれていて、非常に見応えが感じられた。
仲間や身内の死に際し、湧き上がる怒りは戦場を復讐の場に変える。
復讐は、また新たな復讐を呼び、その連鎖は戦争を泥沼化していくだけ。
それじゃダメなんだ!と自らを律し、行動するイリヤ大尉の姿は、非常に印象的だった。
さらにロボットCGアニメとしても、とってもリアルで迫力のある映像。
これは戦争であり、命がけの戦いという意味でのリアリティも感じられた。
ただ、人物のCG造形はひと昔前のゲームのムービーみたい。
人物と、人物以外の映像のクオリティのギャップが激しくて、すごく気になった。
ガンダムガチ勢だと、それなりに言いたいことはあるのかも知れない。
しかしガンダムよくわからないワシ的には、ロボットCGアニメとして面白いうえに、しっかりと気骨のある良作だった。
人物の造形が、ただただ残念。
余談。
医療担当キャラのオニー・カスガの顔が、時々劇画みたくなるのが可笑しかった。