①戦車や戦闘機など現在の技術の延長線上にある兵器
②戦車や戦闘機を凌駕するザク
③ザクより遥かに格上のガンダム
と、技術レベルが三層に分かれているのが面白かった。アニメロボットにリアリティを持たせるのに、整備や運用といったメカ的な描写を増やすのではなく、アクションの中で見せる方法があるんだな。
ザクは戦車の主砲にも無傷で、戦車を素手でなぎ倒す。でもガンダムはザクの武装を跳ね返し、軽く撃破する。
通常兵器とMSの間をザクタンクやガンタンクが埋めて、ザクの上にガンダム(やグフ)がいる。ロボットのヒエラルキーをいい具合に調整しているのは良かった。
ガンダムを絶対的な強者として描くことから逆算して調整されているので、ガンダムの機動が嘘っぽいアニメロボットとして浮いて見えるのではなく、超怖い強敵に見える。到底敵わない相手を前にした恐怖感がリアルに感じられる。人の姿をしているので、ものすごく強いバケモノに追われているような怖さ。単なるメカではない、ロボットアニメの面白さがあった。
まあ、ビームサーベルが3本ある意味が描写されてないとか、絵面が代り映えしないとか、巨大感が人との対比しかないとか、細かい気になる点を挙げればキリは無いけど、きちんと人体形状のメカで演技していた点は良かった。四肢と首の欠損まではOKなのが人型ロボットの利点。
ただ、メカ単体としては良かった反面、歩兵がMSの足元に近すぎたり、敵MSの接近に気付かなすぎだったり、演出の範疇を超えて敵味方の距離が近すぎたのは気になったかな。そこはミリタリーテイストなんだから、ミノフスキー粒子とかの説明台詞を入れて言い訳してほしかった点。
設定の説明と言えば意外だったのは、ニュータイプなんかの話を拾って、丁寧にガンダムに寄せていたのは驚いた。ただ、NTは触れなくても話は成立するので、必要だったかというと疑問。宇宙世紀についての前提知識が必要になるので、無くてもよかったんじゃないかな。
そもそもウェットすぎるよな。息子と同じ年ごろの少年兵に同情するまではギリ理解できるとしても、戦闘中に敵へ呼び掛けて話し合うのをこのクオリティの映像でやるのは違和感が大きい。一応「助けた敵に殺されたんだぞ!」みたいなやり取りでバランスを取ろうとしているけど、そういう悩みは単なるお気持ちなので、ロジックじゃないんだよね。
総論として、意外とガンダムしてたし、想像よりはずっと面白かった。ただ、ハードテイストな映像とドラマが合ってるかというと微妙なラインだし、なんか無難にまとまっちゃったかな、という印象。