にゃん

百妖譜 第1期のにゃんのネタバレレビュー・内容・結末

百妖譜 第1期(2020年製作のアニメ)
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このレビューはネタバレを含みます

内容
はるか昔の中国。妖怪専門の医者・桃夭は小坊主・磨牙と旅をしながら、各地で妖を救っていた。彼女は手首の金の鈴を響かせ、患者の心の声を聴きながら治療を行っていく。そこに垣間見えたのは、「生きていたい」「誰かと共にいたい」という純粋かつ切実な願いだった。出会いと別れを繰り返しながら霊医・桃夭は彼らの傷を癒していく。これは、百の妖怪と、百の心を知るための旅。

1.乱世の時代の中国。冬のある晩、桃夭と磨牙は雪原にぽつんとたたずむ1軒の宿屋を訪れる。温かいそばを食べ暖を取っていたが、同じように食事をしていた客が次々と血を吐き意識を失ってしまう。実はその宿屋は人を食う妖怪のすみかで、妖怪たちが人間から精気を吸い取っていく。しかし、その時桃夭と客の中にいた謎の男が意識を取り戻し、妖怪を倒していく。その男は、霊医である桃夭を探し、人間に姿を変えた灰色のキツネだった。

2. 40年前に灰色の狐と遊び、夢を語った少年は、今では乱れきった蜀の地で強大な権力を持つ大将軍となっていた。その目には、もはやかつての平和を愛する純粋な光はなく、2万人の降伏兵を容赦なく殺すなどの蛮行で人々から恐れられる存在と化し、目の前の人間に姿を変えた旧友の狐にも気付くことはなかった。それどころか自分を殺すよう命令する将軍に、狐は「人間の姿になることはできたがその心は分からない」と嘆くのだった。

3. 桃夭の友人・葉逢君から「ある妖怪を助けてほしい」との依頼があり、桃夭と磨牙たちは、葉が営む元宝堂を訪れる。葉は桃夭たちにその妖怪を救うわけを語り始める。2年前の大みそか、朱小宝という男が店に現れ、「体の悪い母のために折り紙のチョウを作ってもらいたい、代金は金で支払う」と言ったという。親孝行のためと思い快諾した葉だったが、その後、小宝はたびたび店を訪れるようになっていった。しかしその小宝は人間ではなかった。

4. ひん死の漱金鳥を診た桃夭は、葉に「老衰だから治せない」と言い放つ。それでも食い下がる葉に対し桃夭は、「助けるには何があったのか自分の口で語る必要がある」と伝えると、漱金鳥は自身の過去を語り出す。自分は金を吐き出す鳥で、長年にわたり人々から吉祥だと言われてきたが、自分がもたらしたものは争いと死ばかりだったと話す。しかしある日、貧しくも温かく明るい、それまで目にしたことのない家族と出会い、そこで暮らすことにした、という。そのうちその家の息子が戦争に行ったが帰ってこない。様子を見に探しにいくと既に死んでいた。鳥はその息子に成り変わり息子の母親と7年間暮らしてきたという。桃夭は鳥を治してあげる。

5. 未晴湖の近くの賭博場で有り金をすってしまった桃夭と磨牙は、支配人から「払う金がないなら湖畔の好喫館で3日間皿洗いをするよう」命じられる。しぶしぶ承諾する二人だったが、ちょうどそこは桃夭が診察の依頼を受けていた人狼の郎(ろう)の家だった。年老いてもう先の長くない郎は、死ぬ前にどうしても弔いたい女性がいると言い、自らの生い立ちと彼女に出会った若い頃の苦労話を語り始める。

6. 郎は、人間の世界で生きていくことの苦労に耐えかねて、未晴湖に身を投げて自ら命を絶とうとしていたが、偶然通りかかった美しい少女によって助けられる。天真らんまんに生をおうかしているような少女にいつしか郎も生きる勇気をもらい、それまで経験したことのないような楽しい時間を過ごす。そんな中、1日の終わりに彼女から最後のお願いとして自分と結婚してほしいと告げられる。困惑する郎だったが、1年後"死の薬"を郎に渡す約束をすることで同意する。しかし彼女は1年後現れなかった。彼女は妖、かげろうだったのだ。
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