栗宮

小市民シリーズ 第1期の栗宮のネタバレレビュー・内容・結末

小市民シリーズ 第1期(2024年製作のアニメ)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

米澤穂信『小市民』シリーズのアニメ化。『氷菓』こそ大成功を収めてはいるものの、落ち着いた会話劇がメインの日常の謎ミステリ小説がどこまでアニメに耐えうるかやや疑問だったのだが、安定して高クオリティを維持していた映像や音声に唸らされた。
特筆すべきは声優陣の好演。少人数での会話が中心となる作劇ゆえか、間や吐息の使い方が非常に巧みだった。特に健吾役・古川慎の芝居には舌を巻く。もちろんそれ以外のキャラも自然な口調での演技がされていて、おそらく作品全体でそのようなディレクションが行われていたのだろうと感じた。
作画や美術の綺麗さも好感触。激しく動き回る作品ではないものの、どこを切り取っても絵になるような丁寧さを感じることができた。
スイーツの描写で彩度を増したり心象風景のようなカットを足したりするなど、画面のバリエーションを増やそうという努力は感じられたものの、やはり物語として地味で暗いのは否めない。キャラもみんな落ち着いて大人びているため、どうしても盛り上がりに欠ける印象を抱いてしまった。ミステリ小説としては全く問題ないし、むしろそれが持ち味ではあるのだが……。
すでに続編も発表されている。なかなかにインパクトのある終わり方を迎えているため、先がどうなるのか気になってしまう。ここからは比較的動きのあるエピソードも多そうなため、楽しみにしたい。
栗宮

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