原作はめちゃくちゃ面白い。キャラクターの死をドライに突き放して、徹底的にテンポ良く物語を進めているからなんだよな。いわゆる『甲賀忍法帖』的な容赦なき能力バトルが繰り広げられ、あらゆる魔法少女が次ページでは呆気なく死んでしまうような緊張感があった。かといって薄味で素っ気なさすぎる訳でもなく、スノーホワイトとリップルの対象的な物語を縦軸として組み込むことでドラマ的な魅力も貫いていたのが好感だったんだなあ。
そんな訳でアニメ版では原作の持ち味がゴリゴリ削られてる印象がかなり強い。映像化する以上仕方ない部分もあるとはいえ、物語の暴力性を視覚的にあざとく演出したことで原作の冷淡な殺伐感は大きく薄れている。ラ・ピュセルやトップスピードのアニオリ描写が顕著だけど、やけにドラマチックなんだよなあ。その割にスノーホワイトとリップルの対立軸関係は弱くなっている。あまりにも露骨すぎる回想の入れ方のせいで次の死亡キャラがあっさり分かる構成もかなり引っかかる。リップル&トップスピードVSカラミティ・メアリなどの山場で演出・作画的に盛り上がれなかったのも痛い（漫画版はそのへんのバトル描写も派手で好き）。
ただ原作の短編エピソードも取り込みつつ再構築している点は結構好きだし、マルイノ先生によるイラストとはやや趣が違うもののキャラデザも十分に可愛らしくて良い。魔法少女たちの声優もみな好演かつハマリ役だし、円盤の特典でのボイスドラマなんかもキャラが生き生きとしてて総じて好き。
