同名の漫画原作のアニメ。本作のPV公開当時、「しかのこのこのここしたんたん♪」という独特なリズムのオープニング曲が話題になり、OPが公開されてないのにも関わらずOP曲がバズるという他に類を見ない現象を引き起こした。そしていざアニメ本編が公開されると、本作は激しい賛否両論に晒されることに。これは事前にバズってしまった故の悲劇と言えるかもしれない。
本作は純度100%のコメディで、鹿乃子のこなる鹿のツノの生えた少女(鹿と人間のハーフとかではなく完全に鹿ということらしい)を中心にしたドタバタ劇。他のレビューにある通り、全体的にノリが古臭く、平成初期のギャグ漫画の匂いがする。ナレーションでのツッコミ、使い古された誰もが見てわかるパロディ、大袈裟なツッコミ、唐突で不条理な展開。「寒い」という意見がかなりを占めるのは、こうした2000年代後半くらいの、「お前らwwww最高だwwww」みたいなノリが、令和の冷めた空気を浴びた人たちにとって拒否感があるからなのかもしれない。だが私自身は、この作品を「それを分かっていてもあえて昔のノリを導入した、言うなれば新古典主義的作品である」と主張したい。「平成の空気を模倣した」と解釈するなら、この作品はそれに大部分のところ成功しているし、本作は可愛い女の子たちが多数登場する「萌え」(この言葉も平成の遺物なのかもしれない)作品であり、平成の初頭のノリと現代的な「萌え」を合体させたという点で、一応は革新的であると言えなくもないのではないか。
ちなみに本作を非難するうえでよく言われる「処女弄り」に関しては、俺も擁護ができない。処女弄りそのものは百歩譲っていいとしても、それ以外のシーンに下ネタがほぼ存在しないためあのシーンだけ変に浮いてる感じがする。下ネタがいろんなとこに散りばめられていたらあのその違和感もなくなるのだろうが(露骨な下ネタも平成初期にはありがちな気がする)、見る人がさらに減る気がしないでもない。