ミスマッチな世界観とキャラクター達
久々のそれもアニメの新作ターミネーターを観れるとなれば誰もが待望する作品だ。
2以降の続編、ドラマと2以上の大作とはならなかったものの、その世界観は辛うじて守られ新たなシリーズを観ることが出来たターミネーターシリーズ。
しかし、今作のアニメ化では遂にその世界観すら壊してしまった。アニメと言えば日本、と言いたいところだが、今作はその日本のダメなところを詰め込んだような作品だ。
2022年から1997年に送り込まれたターミネーターが過去の重要人物を狙い、それを防ぐために人類も1人送ってそれを阻止するというセオリーなストーリーだ。しかし、場所は日本。当然銃などほとんどない国家での物資調達は困難を極め、シリーズの醍醐味である激しいガンアクションは皆無だ。
登場するキャラクターも魅力不足が酷い。2でのジョン・コナーとは違い3人の子供達が狙われるのだが、機械オタクのサイコパス長男に子供という立場を利用して綺麗事を並べる次男、そして死体だらけの通りを見ても平然とする末っ子と、アニメならではの不自然な言動が悪目立ちし窮地に立たされても「ふーん」としか思わない。ガメラのアニメでも感じたが、子供を主軸とすると年齢と言動がどうも矛盾してしまう。見た目は子供でも頭脳は大人なのだろうか。
そして、一番ターミネーターファンからしたら許せないのは恐らく世界観の崩壊だろう。シリーズで過去にタイムスリップしてもその年代を忠実に再現しているのだが(もしくは現代だから違和感がない)、今作ではAIやロボットが日常に紛れ込む明らかなオーバーテクノロジーな日本が描かれている。現実では犬型ロボットのaiboすら登場したのは1999年。それも今からしたらそこまで高性能なものではない。にも関わらず、登場するネコロボットは本物のように動きをし仕事や家事をこなすロボットがいるというドラ◯もんもビックリのテクノロジーなのである。ストーリーではパラレルワールドの世界を匂わすが、かと言って世界観が統一されているわけでもない。当時の日本とファンタジージャパンが混在し観ていて違和感満載だ。
満を期した新作だが、こんなターミネーターなら審判の日も来てもしょうがない。