このレビューはネタバレを含みます
地動説を巡って、ジョジョみたいに、主人公が世代交代するのが、斬新だった。
一対一の議論で、各々の考えをぶつけ合わせ、物語が展開していくのが、キャラの背景と当時の宗教弾圧と合いまり、今みたいに自由に発言することができなかった時代なので、より重々しく感じられて魅力的だった。
チというタイトルも地動説でもあり、知識、血、舌打ちのチといろんなニュアンスを含んでるのも作者の頭の良さが垣間見える。
異端者審問官のノヴァクによって、次々と捉えられる知識人達が悲惨すぎて、ノヴァクにイラつくが、ノヴァクの娘ヨレンタも教会に反し、地動説を説き、結果、悲惨な死に方をするのがやるせない。
教会の教えが絶対である時代に、ノヴァクの行動は自然でもあるが、疑問を放棄した愚者でもあり、司教の息子アントニが金のために地動説を受け入れ手のひら返しした時、自分の今までの信念が揺らぎ、自分の娘まで失った結果が、私利私欲にまみれた教会のためだったと気づいた時は、ノヴァクも異端審問の犠牲者の1人なんだったのだなと思った。
「愚者は経験に学び賢者は歴史に学ぶ」という言葉があるが、一個人の成果では、成し得ないし、先人達が残したチの歴史を受け継ぎ、また新たに研究し、それをまた後世の人々に継承することで、大成していく壮大な物語なんだなと。
天文学の知識というより、人生の教科書みたいな作品でめっちゃ響くのも良かった。