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チ。 ―地球の運動について―のbluebeanのレビュー・感想・評価

チ。 ―地球の運動について―(2024年製作のアニメ)
4.0
作品の舞台はヨーロッパ中世の終わり頃ですが、美しさや心理といったもののために人生を捧げ、想いを次の世代に繋いでいく主人公たちの姿は、損得勘定で成り立つ合理的な人生観が根強い現代において強烈なメッセージを投げかけています。

科学のパラダイムシフトにおいては旧世代が積み上げてきたものが全否定されるわけですが、一生をある理論のために捧げてきた人や、宗教などの価値観を信じる人などがそう簡単に新しい説を受け入れられるわけはなく、新世代を弾圧するという流れを、キャラの細かな心理描写で納得させてくれます。

一方で、自分の追い求める心理や信念のために他者を犠牲にすることは完全に肯定的に描かれているわけではなく、地動説側の人間も相対化されて描かれるところが面白かったです。

抜群に面白い前半に対して、後半はキャラが理屈を長々としゃべるシーンが増えて若干失速気味になります。それでも、手袋や朝日といった伏線をみごとに回収する構成は見事ですし、ちょっとハズし気味に余韻を残して終わるラストはかなり好きです。




以下メモ

合理的、損得、今時のビジネス書みたい
自然法則の美しさ、理系には共感しかない
子供の時科学を習った時の感動を思い出した
死後の世界を信じる感覚が新鮮
研究者の一生を否定する重さ
文字は時代を越える奇跡
目をつぶさないことで最後に星空が見えるところ最高
星と首吊りの対比
中国の言論弾圧を思わせる
哲学的な有神論、解釈しない、感覚で信じる、東洋思想っぽい
正誤ではなく価値観の違いというのが面白い
ヨレンタの前提の話、ほぼ哲学者になってる
異端かどうかを徹底的に相対化してノバクを全否定、えぐい、そして地動説も相対化
手袋に腕とか、朝日とか、神回収
終盤理屈が多すぎた
 
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