このレビューはネタバレを含みます
坂本真綾すご。
(特に哲学の)研究者にとって、ここで描かれている思想はありきたりなものゆえ、冗長で作為的に感じる。
キャラが次から次へと入れ替わるのは、「知の継承」というテーマを描く上で有効な方法ではある。ただ、そのせいで各キャラが発するセリフに自然必然性を与えることに失敗しており、それゆえにキャラという人形を操る作者の顔が前面に出過ぎてしまっている。
とはいえ、本作で描かれている思想自体は極めて重要なもの。したがってそのようなものを一般大衆に知らしめた、という点で本作には価値がある。ただその価値は芸術的価値ではなく、教育的価値だろう。
真理の相対主義に毒された大衆はこの作品を観て何を思うのだろうか。
この世界には自分の命よりも大事なものがあること。そして時にそれが"真理"でありうること。このことが彼らに少しでも伝わればと願う。
ただ、その点に関してはフィクションより歴史的事実の方がよっぽどインパクトと説得力があると思うが。
「でも、私が死んでもこの世界は続く。だったらそこに何かを託せる。それが喪失まみれのこの世界から生まれたある種の希望だ。」
--グラス