ハルゼロ

青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ないのハルゼロのレビュー・感想・評価

4.2
青春ブタ野-郎はサンタクロースの夢を見ない(2025年)
記録用
評価:非常に面白い!

本作の魅力は、何と言ってもその緻密で哲学的な物語と、知的なユーモアに満ちた会話劇にある。高校生編から続く個人的な心の傷の物語が、大学生編では社会的な現象へとスケールアップ。先の読めない展開が絡み合い、単なる学園ドラマではない、重厚なSFミステリーを構築している。
そして、登場人物たちが交わす、忖度や建前を排した言葉の応酬は、彼らの生き様そのものを描き出しており、観る者を惹きつけてやまない。

ただし、この作品にはいくつかのハードルも存在する。
高校生編からの積み重ねが必須のシリーズ構成、初見では理解が追いつかない複雑なプロット、そして主要人物の似通ったデザインなど、誰もが手放しで楽しめる作りとは言えないかもしれない。

だが、それらの問題点を補って余りあるほど、咲太と麻衣、そして新たな登場人物たちが紡ぐ物語と会話は、我々の心を強く揺さぶる。難解さすら、この作品の深淵を覗くためのチケットだと思えるだろう。間違いなく、観るべき傑作だ。
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