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アン・シャーリーのtakefourのレビュー・感想・評価

アン・シャーリー(2025年製作のアニメ)
4.1
「赤毛のアン」といえば、読み物が少なかったぼくらの子ども時代は女子のバイブルみたいな存在で、クラスには何人も愛読者がいた。
彼女たちはみんな本が大好きで、中には小学校卒業までに図書室の本を全部読んだなんて凄い子もいた。

ぼくも本が大好きで、1巻目は読んだことがある。
でも、図書室の貸し出しカードに並んでいる女子ばっかりの中に自分の名前を書き込むことの恥ずかしさが先にたってしまって、その先を読むことはなかった。

原作尊重派だけど原理主義者ではなく、高畑勲版も見ていないぼくは、このアニメが始まった当初の「ピンク服論争」とか「ダイアナの目の色が違う論争」等のご意見は、残念ながら重箱の隅を突くような話にしか聞こえなかった。
アニメでアンが着ている服はピンクじゃないよなぁ……、が率直な気持ち。
もちろん、原作に強い思いをお持ちの方々の気持ちは察せられますが。

こうして2クール全24話、楽しませてもらって完走した。
恋に恋するアンが大人になって、自分の気持ちに気がつく最終話はとても良くて、感極まってしまったくらい。

作画も美しくて、プリンス・エドワード島の豊かな自然がたっぷりと描かれていた。
最近、朝ドラで村岡さんを演じた吉高由里子さんが彼の地を訪れた番組を見たんだけど、アンが育ったグリーンゲイブルズも島の様子もアニメの世界そのまんまで感動的だった。

アンの物語は数巻あって、今回アニメ化されたのは第3巻「アンの愛情」まで。
24話で3冊なら1冊を8話ということになるので、かなり細かくアニメ化したのだと思う。青ブタなんて1冊3話だったし。
だから、1年くらいの時間がちょくちょく飛ぶのは原作通りなのでしょう。

正確には10話までが第1巻ということみたい。
「赤毛のアン」はなんといっても第1巻にすべてが詰まっているので、アニメ化に当たってはこれが正解なのでしょう。
ポジティブで夢見るアンは、成長しても変わらずメルヘン乙女ですが、アニメでは最後の方に出て来たロイに対して、かなり酷かったですよね。
原作通りなのでしょうけど。

原作に思い入れのない自分が何を言っても……なんだけど、120年くらいまえの小説をアニメ化する意義みたいなのは十分に感じられた作品だった。
これを機会に「赤毛のアン」に触れる人が増えると良いね。
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