味噌汁

PSYCHO-PASS サイコパスの味噌汁のレビュー・感想・評価

PSYCHO-PASS サイコパス(2012年製作のアニメ)
5.0
神の意識を手に入れても死ぬのは怖いか?
 
 近未来の日本。人間から読み取った生体力場を読み取り、精神の健康状態を数値化(=PSYCHO-PASS)する〝シビュラシステム〟を導入することで、新たな社会システムを築いた。犯罪の未然防止から職業適正に至るまで幅広く使用されており、人々の意思決定は概ね機械によって委ねられている。本作はそんな社会を背景に、公安局に勤める新米監視官 常守朱 と捜査官 狡噛慎也 を中心に物語が描かれる。

 今より進んだ社会基盤が基になっているが、機械に依存した社会構成は何もPSYCHO-PASSの世界だけではない。連絡手段や情報管理などをインターネットを用い、半ば共存関係にある現代も同様のことが言えるのではないかと感じる。作品を通して描かれる〝支配しているのは機械か人か〟というテーマは、実存社会に生きる我々にも通じる点ではある。本来なら執行対象の人間がシステムに検知されない、いわゆる〝免罪体質〟の槙島聖護。1期の黒幕として暗躍する彼が吐露する孤独に対しての発言も、人と人との繋がりが希薄な現代にも共通した問題が挙げられた。こうした技術の速度に人間が適応できていない状況下が合致しているからこそ、味方や悪役に関わらず深く共感できるのではないだろうか。

 映画を鑑賞した後の記憶補完のつもりで観ていたが、やはり癖になるくらい面白い。本作オリジナルの用語が非常に多く最初は非常にわかり辛い作りにはなっているが、解説が随所に散りばめられているので安心して鑑賞できた。しっかし、タバコを吸う刑事と哲学書を引用するクサい悪役ってのはどの作品でもカッコいいなぁ。
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