イロカワ

鋼の錬金術師のイロカワのレビュー・感想・評価

鋼の錬金術師(2003年製作のアニメ)
5.0
 アニメ史に残る傑作。原作との設定の変更が物凄く上手くいっている。
 キャラクター同士が原作以上に深く結びついていて、この人とこの人がこんな形で関係すると、こんな驚異的な物語が出来上がるのかと驚愕する。素晴らしい作品でした。
 ホムンクルスの設定も素晴らしいけど、私が感動したのはこの世界における錬金術の設定。原作では地殻エネルギーを使っているとか訳わからん設定だったけど、この作品では人間の中にある「門」と呼ばれる機能を介して、こちら側の現実の世界から死者の魂が流れていて、その魂をエネルギーにして錬金術は行われている。
 そして、ここまで無尽蔵に錬金術が使えているのは、こちら側の世界が第一次世界大戦中で、そこで死んだ沢山の人間たちの魂がハガレンの世界では何気なく錬金術に使われている。
 本当に業が深い設定。この設定が存在するだけで、この作品自体の重さが段違い。エドが人を助けるために使ったあの錬成も、フザケてやったあの錬成も感動的だったあの錬成も全て等しく血まみれであり、賢者の石以前にこのシステム自体が狂っている。
 こんな世界の真相を知ったのはホーエンハイムとエドワードの二人だけで、彼らだけがその罪深さを知っている。
 きっと劇場版ではこのハガレン世界の業を一挙に引き受けたような存在が、この錬金術というシステム自体を壊すお話になるんだろうな。そしてエドワードは血にまみれた錬金術を使うことができずに悩み、苦しみ、葛藤し、それでも解決策を見つけようとするんだろうなぁと期待していたらバリバリ錬金術使っていたのでガッカリした。
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