つい最近追いついたシリーズ新作。だからこそ４話まで振り返りだったのは少し興が削がれたけれど、ちょっとした埋め草的エピソードが挟まれていて良かった。
そしてまず改めて、美術が凄まじい。
例によっての山々はもちろん、今シーズンはまた比較的肌寒い季節をメインとして、ピーカンの中にもサラッとした涼しい空気の色合いを感じた。またそれと対比されたキャラクターたちの装いにもぬくぬくとした気持ちになった。ジェットコースターの作画の荒ぶりようや随所のコミカル表現など、今まで以上に伸び伸びとデフォルメされたアニメーションも非常に楽しかった。
そしてまた素晴らしいのはOPとED。
転がるように軽やかなOPでは、見送る側の視点であおいたち各キャラクターの「いってきます」を描いているのがめちゃくちゃ良くて、とても活気と思いの込もった魅せる切り取り方だった。個人的には特に、楓の小ジャンプ＆バッチュとひなたのドア衝突がお気に入り。
そしてEDは各回に沿ったストーリー性ある毎話描き下ろしイラストという垂涎もの。今期においてEDそのものを楽しみに観たのは某デンノコ作品と本作くらいのもの。最後の最後までしっかり愛が詰まっていることにひたすら感激する。
内容についても、そういえば登山部あったんだとか思いつつ、クリスマス目前にメンブレしたひかりにほろ苦い大人の世界を垣間見たり、いつもの面子にゆうかや小春先輩を加えた大パーティーで新たな交流が図られたり、かすみたちと山登りして思い出を語り合ったり、フッ軽ひなた一家に連れ回されたり、まだまだ新しい絡みや豊富なイベントを見せてくれる充実したものだった。
そしてついに悲願の富士山踏破。日が昇り、眩いご来光が白く輪郭を縁取っていく。
疲れと、痛みと、「なぜ登るのか」という考えに支配されていた頭を解すように、じんわりと染み入るのはその景色、“見る高さが違えば、こんなにも感じ方が変わるのか”という衝撃。
山頂からの手紙を誰に出そうか、頭に次々と人の顔を思い浮かべられるようになったあおい。高校入学時からは想像もしなかった今。その現在から想像する未来には確かに、少し髪の伸びた自分がザックを背負って、一歩一歩、歩いている姿が見えた。
それは積み上げてきた意志と、巡り会った希望が織りなす未来地図。
願わくばその未来に、幸多からんことを。
そしてまたいつか、スタッカートのような日々と、その先に広がる景色を一緒に見られることを信じて。
六根清浄 お山は晴天！
視界は良好 どっこいしょー！
