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ファンタジスタドールのHALのレビュー・感想・評価

ファンタジスタドール(2013年製作のアニメ)
4.6
野崎まどの前日譚小説『ファンタジスタドール イヴ』を先に読んでからアニメ本編を観るというちょっとズレた入り方をした。小説は屈折した青年が大学生活でどんどん歪んでいく反=青春小説かと思いきや、後半はどんどん<質量傾斜実験>にドライブしていく濃厚なSF小説っぷりにクラクラした。

どう見ても小説とはノリが全く違うんだろうな……と思いながら見始めたが、こっちも、いやむしろ小説よりもヤバかった気がする。谷口監督が関わっている作品は最近ワンピースのREDを観たくらいであまり観ていない。正直途中まではぶっとんだギャグアニメくらいのノリで観ていたのだが、ラスト3話の追い込みっぷりが本当に容赦ない。思えば何度も失敗し、挫折していた主人公、うずめを最後の最後で追い込み、主人公が勝ってきたはずの人物達がうずめを動かす。これをアツいと言わずして何をアツいと言うのか。(それでも11話になっても大学の講堂でカレーを食いながら世界の秘密を解説しているみたいなトンチキな画はずっとある)

最初は二重世界みたいな演出が『仮面ライダー龍騎』のようでドキドキしたものの、連打されるギャグに笑っていたら終盤の燃え展開が凄すぎて……最後の海は本当に完璧なラストシークエンスで泣いてしまった。ロックマンエグゼやデジモンが好きだった自分に見せてあげたい夢と感動があった。あと、関係ないけど新海誠監督の『すずめの戸締まり』のすずめちゃんとうずめちゃん、名前だけじゃなくてどこか託されているものも似てる気がする。人と人とを繋ぐ存在。アニメっていいものですね。
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