同様にアニメ化した原作ゲームのシリーズとしては『キミキス』や『アマガミ』を挙げることができるが、本作はそれらと比べても、個性と呼べる特色に欠けた作品だと感じた。主人公を二人に分裂させてでも青春群像劇に仕立てた『キミキス pure rouge』にせよ、全ヒロインのルートを分けて描いた『アマガミSS』にせよ、賛否はあれど個性が感じられたのに対し、本作にはそれが欠けている。最初の4話を共通ルートとし、以降は各ヒロインと結ばれるエピソードを1話ずつ(メインヒロインと思われる遙佳のみ2話)で描き切る構成を取っているが、短い尺でまとめられた結果、どのエピソードも印象が薄く、シリアスとコメディのどちらつかずな作風と相まって、中途半端と評されても仕方のない出来栄えだ。ピアニスト窪田ミナが手掛けるサウンドトラックの美しさだけが唯一の癒しだった。OP主題歌の「恋するレンズ」も気に入っている。