ななみ

バッカーノ!のななみのレビュー・感想・評価

バッカーノ!(2007年製作のアニメ)
4.1
不死を齎す酒を巡る群像劇。超面白かった〜!! 情報の洪水と小粋な個性の応酬。時系列が複雑に交差するのにここまで見易いのは構成の勝利か。1930年代アメリカの舞台設定の妙とパルプコメディ調の劇伴が癖になる。どういう物語を魅せたいのかが明確でそういう意味で好ましい。

成田良悟著作を原作とするアニメは 最近『デュラララ!!』を鑑賞したが、より洗練された煩雑さ 魅力的な世界観 そして愛嬌のある狂言回しなど、不死性を巡る大騒動として時代を横断しながらも貫徹した内容でどちらかと言えば本作の方が完成度は高く感じる。

痛快無比なOPが最高の一言だが、これだけの主要人物の目的と個性をノンストップの作劇の中で明確にし、キビキビとした洒脱な調子の繋ぎと共に流し込んでいく物語としての力強さは凄まじい。コメディありサスペンスありミステリありアクションありとジャンル横断型の作品としても歯ごたえがあり、フィルム・ノワール的な世界観の設定が痺れる。

狂言回しを務めるアイザック&ミリアのような立ち位置のキャラクターが好きで、因縁が絡み合った物語の中で幸福と傍迷惑を振り撒いていく痛快さは良く、本人たちの底抜けに馬鹿馬鹿しく愛すべき振る舞いも含めて本作の風通しの良さに大きく貢献していると思う。他のキャラクターも等しく魅力的で、その人物たちが迎える顛末も込みで個性という趣。

今見ても完成度高く感じるので当時からすると鮮烈な作品だったのは明白で、伏線回収もさることながら煩雑さ煩雑なままに纏まって清々しい終局を迎える。原作とオチが違うらしいがアニメ版の落ちるべきところに落ちる感じがいい。成田良悟、好きかもしれない。
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