シュローダー

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。のシュローダーのレビュー・感想・評価

5.0
持たざる者たる最強陰キャ、ヒッキーこと比企谷八幡と、持つ者故の孤独を抱える完璧少女、雪ノ下雪乃。一見相反する両者を対比させる鏡像関係の描写がとにかく面白い。基本的にどの登場人物も等しく面倒くさく、ノイジーで癪に触る。しかし、それ故に全員に少しづつ感情移入出来る見事なバランスを保っている。つまり、ラブコメとしてどこまでも「抽象的」なのだ。この感情の戯画化のバランス感覚が、主人公が強いだけで何の中身も無い他のラノベやアニメなどとは異なる点だ。登場人物全員が自分の人格に対し仮面を被り、本心を出せない(拗ねた理論武装、姉へのコンプレックス、空気を読む明るさ、男の娘、厨二病etc)それでも尚、心の奥底で渇望してしまう「本物」の関係性。しかしそれは簡単には届かない。故に、青春とは嘘であり悪なのだ