真田ピロシキ

映像研には手を出すな!の真田ピロシキのレビュー・感想・評価

映像研には手を出すな!(2020年製作のアニメ)
5.0
原作漫画未読、先に実写ドラマを見てからの鑑賞。実写版はなかなか面白かった。実写の方がかなりマンガ的な演出をしていたのでアニメはそれ以上にオーバーな表現が多く見られるのだろうと思っていたのだけれど、実際は原作の方が大人しく内野部と外野部なんてものはなくて水崎氏を追うGHQ或いはメン・イン・ブラックも出番はほぼ最初の1話だけ。浅草氏の人見知りもドラマほどではない。ソワンデ率いる生徒会や浅草氏による空想の演出はアニメらしく炸裂しているが、全体的には監督の浅草氏、プロデューサーの金森氏、アニメーター兼宣伝の水崎氏による映像研のアニメ製作活動を地道に楽しく描かれる。金森氏は映像研の起ち上げをモラトリアム期のものと語っているが、製作スケジュールや協力者との交渉、規則に触れる学校及び学校外への根回し等甘えのないガチで、青春の1ページとしての作品じゃなくてクライアントを納得させる商品を作らんとする姿はプロのもの。ガワを変えれば熱血スポ根になりそう。可愛い女の子がアニメを作るのほほんとしたアニメではない。水崎両親に対する「友達じゃなくて仲間です」という言葉がこの3人の強い関係性を物語っている。

最初はアニメの中でアニメを作って面白いものかと疑問に思っていたのだが、演出について浅草氏が懇切丁寧に説明してくれるためにアニメーションのレクチャーをされてるようで次第にこのアニメ自体を意識的に見るようになって行く。誇張は実写より抑えられているくらいなので普段は水崎氏が言うような細かいアニメーションを感じられ、派手な奴は映像研の発表作品で思いっきりやる。これに比べると日常も色々刺激的に撮ってた実写版はやや節度がなく思えてくる。それとこっちでは作ったアニメは全部見せてくれるのが映像研の実力に対して嘘をついてなくて嬉しい。

湯浅政明監督はアドベンチャー・タイムのゲスト監督回しか見た事がなくてそれが結構微妙だったんだけど、これは本当面白くて興味が湧いてきた。オープニングの映像もChelmicoの緩くて楽しいラップと共に癖に。早く続きを見たいものだなあ。原作漫画を買っても良い。