けっこう面白かった!
割りと面白い仕組みで好きなタイプの作品。
キャラクターも良かった。
片目片足を失う代わりに知恵と妖怪の協力を得たという北欧神話のオーディンみたいな少女と、不死と未来視と条件付きで未来を確定させる能力を持つ青年のバディもの。
真実を解き明かすトゥルーエンドではなく、虚構あるいは詭弁によって事件をグッドエンドに持っていくという趣向が面白い。一種のメタミステリーなのかな?本当の真実ではなく皆が求める真実というのがあって、それが真実という名のエンディングになるよういくつものフラグを立てていく。マルチエンディングのゲームみたいな感じ。コナン君に喧嘩売るような正統派に対するカウンター的な探偵モノと言えるかも。
ただし、これは一気見専用アニメでは?
1話はキャラクターと設定の紹介
2話〜3話のAパートでこの作品の仕組みを視聴者に知ってもらうチュートリアル
3話Bパート〜12話までが本題の1本の話
たぶん、3話からの話が長い上に思考も記憶も要求するので、毎週1話ずつ見てると話について来れなかった視聴者も多いのでは?基本的に視聴者もある程度は頭を使わないといけない話なので、ながら見に向かないし先週の話を覚えてないと迷子になると思う。また、一気見もそこそこの集中力が必要だから人を選ぶ。
以上のハードルを超えて上手くハマれば、この作品はけっこう面白い。2話の大蛇の話は思考実験とか推論を広げる感じに止まるけど、3話からの"鋼人七瀬事件"は虚構vs虚構、主人公達と都市伝説を広めた黒幕との詭弁論大会みたいな感じで面白かった。法廷もので弁護士と検事が戦って最後に陪審員が判定するみたいなのに近いかもしれない。ただし、この作品で行われるのは真実を織り交ぜたデッチアゲの積み重ね。事件解決のため真実の悲しいトゥルーエンドではなく、虚構によるグッドエンドにもっていく。
真相が必ずしも明らかにはならないし、起きうる可能性が一定以上の未来なら確定させる能力という特殊設定もあるので、正統派推理ファンは受け入れられないかもしれない。この際、虚構推理ってタイトルだけど、この作品は推理モノとして見るより、考察モノとしての消化するのが良いんじゃないかな。この事件の真相にはどんな可能性があるか?の視点で、たった1つの真実ではなく、複数の可能性を探りその中で最も都合の良いモノを掴み取る。無限の未来の可能性の中からよりよい未来を掴み取るため努力する。そういう話。