俺は普通の人間だと思う、体格とか能力とか。
ガキの頃は、自分を天才に違いないと思っていた。
いや、中坊くらいまでは思ってたかも。いや今でもちょいちょい思ってるな。
でも、多分身長は180に届かないだろうし、運動能力に自信はあるけどバレー部のなかで現時点で俺が一番である部分は無い。
それが何かを諦める理由にはならないし、言い訳にもならない。
そもそもそんなこと、普段考えない。
でも、半年に一回くらい、限りなくメンタルがマイナス寄りになった時に思う。
「俺は“平凡”なんだ」と。
ところで、“平凡”な俺よ。
下を向いている暇はあるのか。
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いつやったか、聞かれたことがあった。
「自分はレギュラーではなく、後輩に天才がいて、辛いと思ったことはないですか?」って。
そもそも天才の定義は分からんけど、聞かれとる意味は分かった。
侑たちのような奴について、理由なく、「“最初から”優秀なんや」と思うとる奴らがたまにおる。
けど、
俺が毎日“1から10”やっとるところを
侑みたいな連中は“1から20”やっとんねん。
あるいは、より効果的な10。密度の高い10。
ほんでたまに、
「1から10やなくて“AからZ”やってみたらどんなやろ?おもろいんちゃうか?」
って考えたりする奴らやねん。
それで失敗しても、時に他人に嫌われても疎まれても、
俺らやったら大事にする何かを蔑ろにしても、
やらずにはおれん奴らやねん。
喉から血出ても、走りたくてしゃあない奴らやねん。
世の中、敵わんと思う人達はいっぱいおって、そういう相手を凄いなぁと思うのは当然や。
“突っ走れる”ことは才能やと思うし、あいつらをなんて呼んだってええねん。「天才」は悪口やないしな。
けど、あいつらのことを
「 “最初から”優秀なんや」
と思うことは、勝負するまでもなく負けとるっちゅうことやし、失礼やと思うねん。