次郎

ARIA The ORIGINATIONの次郎のレビュー・感想・評価

ARIA The ORIGINATION(2008年製作のアニメ)
5.0
円環によってひとつの終わりと新たな始まりが結ばれる、あまりにも心洗われるフィナーレを迎えた第3期。
OVAからアスペスト比が16:9に変わったけど、作画はそこから更に向上。スケジュールに余裕があったのも大きいのだろうけど、原作と合わせての完結ということもあってスタッフの真摯さと愛情がひたむきに伝わってくる。特に4話のトラゲット回は演出と合わせて完成度が異常なことになっているのだけど、後で調べたら絵コンテ・演出・原画全部一人で担当しているあたまおかしいスタッフロールだった。職人…。
そしてこれまでも絶賛してきた音楽は相変わらず素晴らしかった。Choro Clubの楽曲もこれまでと変わらず最高のリラクゼーションを提供してくれるし、1期と同じ3拍子に回帰し、イタリア語で螺旋を意味するOP曲『スピラーレ』も良かったけど、特筆すべきは圧倒的エモーションに溢れたED曲『金の波 千の波』。どちらかといえば日常に寄り添う楽曲だった1期2期とは異なり、壮大なストリングスとコーラスによって感動をさざ波ように広げながらも、その中で溺れてしまわないように鳴り出されるマーチング・ドラムの響きがたまらない。次回予告の「さぁ、お手をどうぞ」の一言にたまらなく心震えてしまうのはどうしてでしょうか。
そして、そんなED曲のエモーションに見合う名エピソードの数々。前述の4話を含め、姫屋組の絆の熱さがたまらない5話&11話、金のあらあらうふふ像(謎CG)で笑わせながらもアリシアさんの至言が伺える6話、ARIAカンパニーの始まりが語られる7話、終わりの始まりとなる9話と見せ場が次々と出てきながらも、12話のクライマックスでEDの演出が遂に独り立ちした、夢の向こう側へ進んだ景色なのだと気付いた瞬間の多幸感。出会いと別れを繰り返し、人生は螺旋のように巡っていく。
ただ癒されるだけでなくてその先の風景、何かに立ち止まっている時、困難な状況を迎えたとしてもはじまりの一歩を踏み出したくなる、そんな最高の作品だった。こんなにも愛おしくなる作品は他にない、オールタイムベストアニメ。
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