ぎゅう

どろろのぎゅうのレビュー・感想・評価

どろろ(2019年製作のアニメ)
4.8
この原作は50年以上も前のものなんだと他の方のレビューで知ったのだが
改めて手塚治虫の天才ぶりをみにつまされる作品。

映像も綺麗だし音楽やBGMもとってもよいが、何がいいって、勧善懲悪ではないグレーな世界観だ。

一国の領主である父親が国の平安と繁栄のために鬼神と取引し、そのために身体を奪われて五体不満足、盲目の聾で生まれてきた主人公「百鬼丸」と、「どろろ」という名の孤児の子供が鬼神を退治して身体を取り戻していくというストーリー。

平安と繁栄のために父親は息子の身体を渡したのだから、主人公が身体を取り戻すと厄災が訪れる。

厄災が訪れようが、自分のものだと身体を取り戻していこうとする主人公は、
身体を取り戻すたびに感情表現も豊かになっていき人間らしくなっていく一方で多くのものを殺し、鬼にも近づいていく。


百鬼丸は赤子の頃に捨てられたが、その後平安を取り戻した国では弟である多宝丸が生まれ、何も知らずに成長していく。

最終的に全てを知った上で、弟多宝丸は国を守る為に兄を殺す決意をするのだが、
どちらの正義が正しいか一概に言えない世界観を、
モンスター退治という少年冒険漫画に組み込んでいく手塚治虫の哲学がもう素敵すぎる。

もっとみんなに知ってほしい作品。
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