GT

はたらく細胞のGTのレビュー・感想・評価

はたらく細胞(2018年製作のアニメ)
3.8
 人の体内を舞台にその中で活動をする細胞を擬人化した作品。非常に教育的な内容になっており、Wikipediaによると東京大学の授業でも紹介されその描写の正確さで高く評価されているという。
 血液循環や抗原抗体反応、アレルギーの仕組みから、癌や出血といった体のトラブルまで色々な「体の内部で起きていること」を擬人化した細胞を使ってわかりやすく、それでいて面白おかしく描いている。私自身は高校の頃に生物を履修した程度しか人体に関する知識がないのでその正確性や描写力に関して何か言うことはできないが、前述の通り相当高く評価されてるのでその描写力は極めて高いのだろうと思う。
 基本的にギャグテイストであり主人公である赤血球は殊コミカルなキャラクター。声優の花澤香菜さんの演技も相まって見ていてとても楽しい。だがそのギャグテイストと世界観がマッチしていないというのが、本作最大の問題点であると考える。これは細胞一つ一つを擬人化しそこに人格を持たせてしまったが故に起こってしまう問題で、体に何か起きれば細胞はすぐに死んでしまう。直接的な死は描写されないもののおそらく大量の細胞が死んでいるであろうことを示唆するシーンは多く存在し、しかし主要なキャラクターは死なないためなんとか明るい雰囲気は保てているものの、どうにもその明るさに違和感を覚えてしまう感じは否めない。ちなみに体に侵入する病原体や細胞のコピーミスによって生まれる癌細胞にも人格が付与されていて、こちらは殺害する描写が普通に存在する。「殺害して当然」のような感じで一切の慈悲なく殺すため、この辺も倫理的にかなり違和感が個人的にはある。「はたらく細胞Black」というもっとシリアスな作風のスピンオフが存在しているようでまだ観てないのだが、こちらの方が世界観的には違和感なく視聴できるのではないかと予想している。
GT

GT