てっちゃん

ウルトラマンタロウのてっちゃんのレビュー・感想・評価

ウルトラマンタロウ(1973年製作のドラマ)
3.5
「ウルトラマンA」の後継作であり、昭和第2期ウルトラシリーズ第3作。円谷プロ創立10周年記念番組として、同時期には「ファイヤーマン」「ジャンボーグA」なども製作され、まさに「円谷特撮ヒーロー」乱立の時代。

昭和第2期の特徴である「人間ウルトラマン」を最大限に拡張し、主人公である東光太郎(篠田三郎)が所属する宇宙科学警備隊ZAT(心理的安全性の高い職場環境)、光太郎が身を寄せる白鳥家、さらにはウルトラの母を中心とするウルトラファミリーに至るまでホームドラマ的な要素が随所に見られ、子ども中心のストーリー、親しみやすさを全面に打ち出した作品です。(防衛軍的描写も少なく、音楽もポップ。)

当時は「子どもっぽい」とウルトラ離れのタイミングでした。今、見返して観ると、全編「子ども目線」でありながらも、これまでにない寓話、ファンタジー色の濃いストーリー展開、東京のど真ん中に「ド派手」にそびえるZAT本部と超メカのミニュチア。怪獣に対して人間が肉弾戦で挑む荒唐無稽さなど、新機軸を打ち出した展開ですね。(タロウの戦闘シーンも、スピーディーで軽やか「光学処理」の鮮やかなこと)

一方で、過去にあったストーリーの焼き直しも多く、タロウとの取っ組み合いを前提とした着ぐるみ造形の劣化感(重量感のない、二足歩行仕様)、トラウマ級の「怪奇大作戦」継承の残酷描写(人が簡単に死んでいく)など・・。目につくところも多いですね。
最終回は、「自らウルトラマンを降りる」という衝撃の展開。ただこのシーンも含めて「ウルトラマンタロウ」という存在が、現代に至るまでの「ウルトラシリーズ」のキーポイントになったんだな、という気はしています。

「ウルトラ6番目の兄弟・ウルトラマンタロウについての物語が、今、ここから始まる」
「あ~そこでだ、夕べ、カレー食べた者いるか?そうか。私も夕べカレーを食べた。よし、東と南原に調査を命じる!」
「人間誰しも、大事に取っといた思いに別れを告げなきゃならない事があるんだ。そんな風にして男は成長していくんだから」
「僕も一人の人間として生き抜いてみせる。僕はウルトラのバッジを、もう頼りにはしない!」
てっちゃん

てっちゃん