シバザキ

キャシアン・アンドーのシバザキのレビュー・感想・評価

キャシアン・アンドー(2022年製作のドラマ)
4.8
ちゃんと『ローグ・ワン』が好きな人のために作られているので、『ローグ・ワン』に並ぶ面白さ。SWシリーズにおける、ライトセイバーの登場量と作品の面白さは反比例する、の法則を決定づける超面白いドラマ。

SWドラマの中では群を抜いて地味であり、それゆえに最初の数話でファンをふるいにかけるだろうけどその分SWの世界の中でも深みのある描写が続くので海外ドラマとしても高品質。ちゃんとアルダーニ作戦や刑務所の脱獄劇など盛り上がる場面も適度に用意していて、そこに至るまでの過程を丁寧に描いているのでカタルシスも半端じゃない。キャシアンが肉体を使って色々頑張っている所もいいけど、その裏でモン・モスマやルーセンが腹を探り合う政治劇を行なっていたり、シリル・カーンが等身大の悩みで身を焦がしていたり、12話あるからこそできるさまざまな描写が見事にハマっていた。

この作品の時系列ではまだ反乱軍はいないので帝国のイヤ〜な圧政も描いている。序盤なんてトルーパーさえ出ない。帝国の下請けの企業がわちゃわちゃしてるだけ。結局映画シリーズで描かれるモブもあの世界では割と上位層の人間で、最下層にいる人の生活とかに現実味を持たせられたのはすごい。
反乱軍を作る側であるはずのルーセンの衣装とか佇まいが暗黒卿のように見える演出も気が利いている。「反乱軍も結局ダーティなことやってるよね」を体現している。ソウ・ゲレラが出てきたのも何気に嬉しい。

SWファンは最初は地味だけど6話のアルダーニ作戦までは見て欲しい。『ローグ・ワン』が好きな人は間違いなく楽しめるし、SWの世界で超シリアスにドラマをやっている。『マンダロリアン』が1話完結のド直球エンタメで『キャシアン・アンドー』が地続きの濃厚サスペンススリラーの傑作だと思う。
新3部作で最高指導者スノークを演じたアンディ・サーキスが出てきたのでまさかと思ったけど、役柄的にそんなことはないですよね?
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