Ayumi

ヴィンチェンツォのAyumiのレビュー・感想・評価

ヴィンチェンツォ(2021年製作のドラマ)
4.0

「シスターズ」と同じキム・ヒウォン監督と聞いて見始めた。ノワール・コメディだが、それぞれの按配がとても良く、次が気になってどんどん見てしまう。シスターズと同じく、韓国の政・官、そして企業の癒着に対する問題意識が強く打ち出されている。

イタリアマフィアの弁護士を務めるヴィンチェンツォが、韓国にあるクムガ・プラザの地下にある金を取り出すために帰国するのだが、バベルグループとの立ち退き争いに巻き込まれる。良心派弁護士のユチャンと心を通せたことで、ヴィンチェンツォは住民と一緒にバベルグループと戦うことになる。

イタリア帰りのマフィアをソン・ジュンギにやらせたのは天才的だと思った。最初は細身すぎないか?と思ったけれど、スタイルの良さと、常に冷静で危機にも動じないかっこよさで、敵の間でもファンを増やしていく展開が良かった(ヴィンチェンツォ・ファンクラブ!)。クムガ・プラザの住民たちは、「愛の不時着」の5人組&奥様方みたいな感じで、友情と団結で魅せてくれる。これだけ多くのキャラクターを立てて見せるのは、演出の技量だと思う。

ところどころで考えさせられる。ある検事がヴィンチェンツォたちに協力を求めるシーンで、ヴィンチェンツォが「あなたは腐っていなくても、あなたの組織は腐っている」「正義は完全無欠であってこそ、正義だ」というセリフ。検察の裏切りに怒る住民に対して、食堂のクアクさんが「自分の周りに関心が出てきたからよ。昔は生活に追われて他人事だったことが、今は身近に思える」というセリフ。

自分は善人だと思っているが何もしない人は、本当に善なのだろうか。プラザの住民は自分たちの安全を捨ててでもバベルグループと戦うわけだが、こういう人たちの犠牲があるからこそ、社会は少しずつ良くなっているのではないだろうか。チャヨンも最初は不正に目をつぶって働いていたが、ユチャンやヴィンチェンツォの姿を見て変わっていく。

ヴィンチェンツォには自分も人を殺してきた悪党だと自覚があり、時に苦しむ。最初はヴィンチェンツォがあまりにかっこよく描かれ、味方が増えていく展開に違和感があったが、自分の罪深さについて葛藤しつつも、さらなる悪と戦おうとする姿はシンプルにかっこよかった。