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息をひそめてのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

息をひそめて(2021年製作のドラマ)
4.3
本作は、1年前の春、2020年コロナ禍となった多摩川沿いの町で暮らす人々の人生に光を当てたオムニバスストーリー。
夏帆、村上虹郎、安達祐実、三浦貴大、瀧内公美、光石研、斎藤工ら実力派俳優に加え、石井杏奈、蒔田彩珠、小川未祐といった次世代を担う若手が集結。
第1話・外資系コンサルティング会社は激務でパニック障害を発症した増田妃登美(夏帆)は、祖父が残した食堂を営むも緊急事態宣言により客が激減、あんかけレバニラ炒めをいつも注文する客(斉藤工)がふらりと来店するようになり、ある時あんかけレバニラ炒めの思い出を語り始める。
第2話・畜産を勉強中の大学生の高岡七海(石井杏奈)は、母親が再婚したために実家も居心地悪く帰りたい場所もなくひとり学生寮に留まり、居残り続けている。居残り仲間には、七海への好意からちょっかいを出してくる同い年の八村陽平(萩原利久)がいた。食堂も休止になり、大学構内への立ち入りが制限されて、やることがなくなった七海は河原で暇を持て余していると、筒井涼音(長澤樹)という少女に声を掛けられる。
第3話・3か月前に学歴や生まれ育ちのコンプレックスが原因で彼女と別れたばかりのごみ収集員の宮下心平(村上虹郎)と会社員の松崎妃美(安達祐実)は人と人が触れ合う機会が奪われる中、マッチングアプリで出逢う……。
第4話・三隅夕河(蒔田彩珠)は大学進学を控えるも、団地の部屋でリモートワークしている父・雅人(光石研)との窮屈な日々の暇つぶしに宅配のアルバイトを始める。配達の仕事を上手くこなすために、自室の部屋に地図を貼り、町や人について気がついたことを、付箋にして貼っていく。
第5・6話・リモートワークになった十和田淳(三浦貴大)と皐月(瀧内公美)の夫婦は24時間顔をつき合わせる生活。一緒にいる時間が増える中で、お互いがお互いを思いやっているつもりが、少しずつすれ違っていく。
第7話・高校3年生の諏訪珠美(小川未祐)は最後の合唱コンクールが中止となり、改めて何のために歌うのか自問自答する日々が続く。
それぞれ今までとは一変した生活を余儀なくされている登場人物たち。やがて、物語は2021年晩秋へ……。
第8話では、高校教師の水谷光生(斎藤工)がコロナ禍を経た未来の姿を描き出し、8話のショートストーリーが重なり合います。
Huluオリジナルドラマ。
飲食業が、生活のために営業していると自粛警察に嫌がらせされ、自分たちの仕事は迷惑なのか自問自答しながらも、お客さんとの交流の中でお店をやっていて良かったと思えることがある。
大学の授業がリモートだけになって閉塞感に塞ぎ込んでいても、思いもかけない人との触れ合い支え合いが慰めになったりすることもある。
リモートワークで一緒にいる夫婦が、お互いを思いやる気遣いが少しずつすれ違っても、お互いに我慢していることを言い合うことで絆を再確認することもある。
コロナ禍の中で閉塞感に不安になったりしても、誰かと心を通わせたり触れ合うことで、慰めになったり、生きていて良かったと思えることがある。「息をひそめて」このコロナ禍を生きる私たちの物語。
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