なっこ

昔話法廷『桃太郎』裁判のなっこのレビュー・感想・評価

昔話法廷『桃太郎』裁判(2021年製作のドラマ)
3.2
これが私の見たかった仲野太賀です。

なんだか、爽やかイケメンだという感じて彼を認識してる友人に「違うの!仲野太賀は、そんなんじゃないの!」と訳の分からない反論を強めにしてしまう私、いや確かにイケメン枠ですけど、みんな彼の怖さを知らないのよ、と。
桃太郎役大変素晴らしかったです。

/この番組について/(NHKHPより)
「もし昔話の登場人物が訴えられたら…?」
という設定のもと描かれる、Eテレの法廷ドラマシリーズ「昔話法廷」。

今回裁かれる被告人は、桃太郎です。鬼ヶ島に押し入り、持っていた刀で鬼たちを殺傷。財産を奪った強盗殺人の罪に問われます。証人として、殺された鬼の妻、桃太郎のおばあさん、桃太郎といっしょに鬼を襲った犬が出廷します。桃から生まれた桃太郎は何者か? 鬼はなぜ鬼ヶ島に住んでいるのか? 昔話の“空白部分”に大胆な解釈を加え、昔話の“その後”を描きます。

/感想/
このシリーズは初見。Eテレのこの番組はNHK for Schoolの中に、学校の授業で使うための「教材」として保管されるそう。確かに、ちょっとそういう固い雰囲気のあるドラマではあるけれど、見応えは十分。TVerでもあるみたい。

これは議論を目的とした法廷ドラマ。判決は見る側が考えるもの。もちろん昔話の文学的解釈からは外れている。でも、短いながらとてもよく出来ている。“鬼とは何か”という問いは、現代を生きる私たちも考える必要のある問いだと思う。
今回は特にシリーズ最終章ということで脚本も役者さんもとても豪華。それぞれの立場、心情にとてもリアリティが増していてたように思う。これを教室で見るのかなと思うと今の子たちがちょっと羨ましい。

物語の空白部分、あらすじからもれている部分、凶行の本当の動機やそれに至る心情、被害者の思い、それらを聴いているうちになんだかやるせない気持ちになる。死刑か否かを裁判員制度で決めさせれるのはどうかとは思うけれど、この事件を多くの市民が考えるべき問題として取り上げることには納得できる。本当に当事者同士だけの問題だったのだろうか。

優しくも厳しい天海祐希さんの検事役、坦々と被告人を守ることに専念して議論を進めていく弁護人の佐藤浩市さん、そして終始目が離せない仲野太賀…どなたかひとりでも好きな俳優さんがいたら見るべきドラマ。
私はラストの桃太郎の表情がとても印象に残ってる。
なっこ

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