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I Promised You the Moon ~僕の愛を君の心で訳して~のmemmmiiiのレビュー・感想・評価

3.5
まずPart1とは別物だった。
それは撮影・ロケーション・音楽・小道具・衣装といった私の中でITSAYを唯一無二にたらしめていた要素がことごとく欠落してしまったからだった。懸念してた通り監督の交代は大きかった。特に美的センスという点で吹き飛ばされるような衝撃を受けたITSAYとの差は大きかった。これは個人的な好みの問題なので、IPYTMで描かれたバンコクの夜の世界が好きな人ももちろん居ると思う。

ストーリーについては新しい監督のインタビューなどを読んだ上で、描きたい内容は理解できるように思った。
ただその演劇に対する情熱というのを感じ取るにはドラマ内で行われる彼らの舞台があまりにも説明不足だったと思うし、何よりも5話で5年(というか最終的に7~8年?)を進めることで特に新しい登場人物の感情があまり読み取れないまま終わってしまったという印象がある。
特にIPYTMではOabさん演じるJaiという人物が重要になってくるのだけど、Jaiについてはとにかく謎ばかりだった。私の周りでもちょっとうまく理解できない…という意見が多かった。
ただJaiについてきちんと描こうとすると主役のTehとOhの物語を紡ぐ時間がなくなってしまうのでしょうがなかったのかもしれない。だったらあんなに複雑なキャラにしなければいいのにと思ってしまった。(Oabさんは演技に迫力があるのでどうしても気になってしまう)

Tehは相変わらず感情迷子になってフラフラウロウロしているのだけどITSAYの時の何か焦燥感や衝動が吹き出して体が勝手に動いてしまう、みたいな魅力的な感じではなくなってしまった。俳優として複雑な演技は上手くなったとは思うのだけど、なんだか本能的なセクシーさが無くなって普通になってしまったなと思った。

一方のOhはITSAYの時は確か人気のインスタグラマーで彼がデザートをインスタに上げたらその店にフォロワーが押し掛けたりするくらいで、一人赤いジャケットを羽織り、友達との会話は高校生らしい可愛らしいものだったけどカリスマ性を感じるような、キャラ設定通り太陽のように眩しく光り輝く子だった。
なのにIPYTMではTehの葛藤を包み込み、どんな時も支え、愛し続ける”理想のオンナ”みたいになってしまった。(カッコ付きの“理想のオンナ”) 
Ohが“オンナ”を選ばなかったのはITSAYでの痛々しいシーンで描かれたはずなのに。もちろんバンコクで新しい友達を見つけ、やりたい仕事につき、お洒落をしたOhはカッコよかったけど、あまりにも監督の”理想のオンナ”像を感じてしまい結構キツかった。

色々と考察できるのがこのシリーズの興味深いところなのでIPYTMはIPYTMなりに日本だけでなくインターファンの考察まで楽しんだけど、まあ結果的に私個人としてはITSAYの世界観の方が好きだった。
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