えぬ

花の都に虎(とら)われて~The Romance of Tiger and Rose~のえぬのレビュー・感想・評価

3.5
どんなドラマかも全然知らずにCSでやってるから…と録画してみたら、最後までそこそこ楽しく見られました。明るく楽しく気を張らずなコメディなので、中国ドラマ歴史物でいつも苦戦する、登場人物とんでもなく多し・その登場人物たちにまた複数の呼び方があって誰のことかあっという間にわからなくなる・人物と呼び方の関係にも意味があったり…みたいな複雑な要素が一切なく、記憶力をほとんど求められない程度の登場人物の少なさ&世界観の狭さ・単純さなので助かった。全24話で20時間ないぐらいの長さなのもありがたい。中国ドラマは70話とか長くて途中で見てる私が息絶える(寝落ちする)ことが多いのだけど、途中で話が停滞するとかもない長さなので最後まで飽きることなく見続けられました。

話はファンタジーではよくある設定なのだけど、主人公のシアオチエンが、私が苦手としている中国ドラマでよくあるヒロイン像とはちょっと違った人物だったので、これまた楽しく見れた気もする。

自分が作り上げたドラマの世界となれば脚本家はその世界の神にも等しい存在&力を有するはず…だったのに、何故かそうはならずに思いもよらぬ方向にどんどん転がって行ってしまい…という次々繰り広げられる展開が楽しかった。この世界から脱出するために…な努力や気遣いが裏目に出たりの連続で、周囲のキャラも設定と違う方向に変わっていってしまって、気づいたらどんどんドツボに…。脚本家すら思い通りに動かせない一癖も二癖もある人物たちとの攻防や、助言を求めた劇作家たちなどとのやり取りとか、本当の家族ではないのに、気づいたらすっかり姉妹や母親と妹や娘な関係になってたり、ひと悶着合って互いに嫌いなはずの幼馴染と通じ合えたり…などなど、ドラマの世界にどっぷりで進んでいくヒロインの行動は見どころがたくさんでした。

ただ、中国ドラマでいつも感じることではあるのだけど、どうにも心理描写が浅かったり、心にぐっと響く感情表現が私にはどうも物足りないので、そのあたりで得られた満足感も薄めになってしまった感じ。ロマンス部分が特にそうで、このあたりがもう少し充実してくると、楽しかった!の度合いがもっと上がると思うのだけど。

また男性主人公が現代劇の現代的な姿だととてもかっこいいのに、時代劇のこの格好だとあまりかっこよく見えず…なのが残念というか、楽しさ半減なのは、もうラブコメではしょうがないところか…。

二番手男性がふとした瞬間(俯いたり、怪訝な表情を浮かべる際)に大昔の若い頃の江口洋介に見えることが何度かありました。全然キャラが違うのに、あ、また江口洋介が…みたいな気分になってしまった。

ヒロインの召使男性が楽しいキャラでどこか抜けていてかわいかった。側女でも女房でも女中でもなく、男性が召使というのがこのドラマの独特の男尊女卑と真逆の女尊男卑な世界観なのだけど、物語が進むにつれてこのあたりの内容もヒロインの中でどんどん突き詰められて煮詰められていくのが良かった。

終わり方もまあこんなところだよね?という普通に納得&スッキリな流れなので、見て不満とかこんなラストあり得ないという感想はあまり出ないのではないかと思います。

気軽に楽しくかわいいラブコメが見たい方はどうぞ。
えぬ

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