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想い出づくり。のKamiyoのレビュー・感想・評価

想い出づくり。(1981年製作のドラマ)
4.0
脚本 山田太一
先日 YouTubeにてTBSドラマ「想い出づくり」見つけて 
一週間かけて、全14話観ました
とても懐かしかったです。僕の若い頃の40年前の1981年秋ごろ
夢中にテレビを見てました。何に惹きつけられたのか?
とにかくはまっていたドラマです。
何と言っても24歳のの三人の娘たち、のぶ代(森昌子)、久美子(古手川祐子)、香織(田中裕子)、人生に、男性に、結婚に揺れ動く若い心
「なんかひとりの時の、すっごくいい想い出欲しい」 適齢期を迎えた女性3人が、重圧と焦燥のなかで自分らしい生き方を模索していく

久美子(古手川祐子)はお人形さん風、香織(田中裕子)は正統派美人ではないですが、気だるい小悪魔風、のぶ代(森昌子)は清純な普通の女の子風でそれぞれいいです。
デビューの田中美佐(今の田中美佐子)も出てるのですが
本当にかわいい!
当時はクズ男柴田恭兵気分で観ていた。40年経った今は佐藤慶、児玉清、そしてなんと前田武彦に共感できる。
(みんな亡くなっちゃったなぁ)
柴田恭兵のクズ男ブリと坂本スミ子のお母さん役がうまい!

それだけに、今見れば、古いと感じるところがたくさんあります。
このドラマでは1981年当時の社会環境(仕事や家族、結婚について)がリアルに描かれています。
『想い出づくり。』から40年後の今、あの当時とは変わったことも
たくさんあります。
当時はネットやスマホはもちろん、留守電すらありません。
久美子や香織が住んでいるのは1DKの古いアパート。
久美子の部屋は風呂もないらしく、台所の流し台で髪を洗うシーンが
あります。
40年経った今、「結婚までの腰掛でしかない」と言わてしまう
「香織のような女性の働き方」は激減しました。
親や親戚に押し付けられる「のぶ代のような結婚」も少なくなったでしょう。
クズ男柴田恭兵に入れあげつつも一緒にダメにはなりたくないという「久美子のような生き方」はまだあるのかもしれません。
女性が「結婚」に縛られることなく、自分の意思で生きていくことが
認められる世の中になりつつあります。
女性だからだからー、結婚適齢期だからー、ではなく「自分らしく生きたい」という人間の普遍的な思いを描いたドラマ『想い出づくり。』

2021年の今、あの3人のような女性はいません。
でも、深いところ、根底的な部分にある、人間の哀しさ・寂しさ・愛おしさまで、山田太一はえぐり出しているので、今見ても、存分に楽しめるのです。
変わっていないのは、人は独りでは生きられないこと、そして愛すべき存在であることでしょうか。

そして山田太一氏があの名作『ふぞろいの林檎たち』を手掛けるのは、この2年後のことです。
後からブームとなるトレンディドラマに大きな影響を与えたことも。
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