なお

ミステリと言う勿れのなおのレビュー・感想・評価

ミステリと言う勿れ(2022年製作のドラマ)
4.0
”久能整は静かに暮らしたい”

伊藤沙莉ちゃん目当てで視聴開始。
放送開始前の予告映像にて、菅田くん演じる久能整の「立て板に水」のような喋り口調が個人的にイヤな感じだったので視聴を見送るかどうか最後まで悩んだが、見てよかった。

2022年1月~3月クールの連ドラの中では間違いなくナンバーワンの作品。

✏️真実は一つ、じゃない
物語は、とある普通の大学生・久能整が何の運命のいたずらか様々な事件に巻き込まれるところから始まる。
整は、持ち前の洞察力と推理力を駆使し機転を利かせ、警察も手を焼く難事件を地味に、それでいて鮮やかに解決していく。

やはり本作の肝、そして見どころとなったのは菅田くんの演技力。
「一見好青年だけど、ちょっと頭のネジが外れている善人(or悪人)」をやらせたらこの人の右に出る者はいないと思う。

整も頭がモジャモジャしてる以外は(失礼)、誰にでも分け隔てなく優しい人畜無害な青年なのだけど、こと「自分が疑問に思ったこと」に関しては、相手がバスジャックだろうと何だろうとおかまいなしに口を開く。
そして、その「疑問」は事件解決への糸口となっていく。

また、主に事件の犯人を追い詰める(もしくは諭す)際のセリフも、敢えて言ってしまえば「キレイゴト」なのだけれど、整---菅田くんの口から出るその「キレイゴト」はなぜだか心に深く染み渡る趣がある。
またその言葉は、犯人を追い詰めるだけでなく、誰かを勇気づけたり行動を変えさせる指針ともなる---。

「犯人は、お前だ!」とはまるで真逆を行く、決して説教臭くない「令和」の時代に受け入れられる「探偵像」なんじゃないかなぁ、と感じた。

✏️風呂光聖子
本作のもう一つのストーリー、それは風呂光聖子の成長劇にもある。
…いや、自分が沙莉ちゃん推しだからこんなことを言ってるワケではなくて。

事実、本ドラマの制作にあたって「風呂光聖子の成長も描きたい」というプロットが確立されていたという。

ドラマ序盤は、年上のオッサン…男刑事の影に隠れ、一時は辞職まで考えていた風呂光だったが、整との出会いにより考え方を改める。
見事「お客さん体質」から脱却し、日本の治安を維持する立派な刑事としての成長を遂げた。

☑️まとめ
ほか、一人一人がドラマの主役級を張れそうな豪華俳優陣を惜しみなく準レギュラー、またはゲスト起用しているのも特徴。

起用したはいいが俳優のムダ遣いに終わるドラマも多い中、本作ではそれぞれの俳優の魅力を骨の髄まで引き出し、全12話のドラマを語る上で欠かせないピースの一つとして成立させている。
個人的には、ライカさんと整の、知的だけどどこかおぼつかないやり取りが大好きだった。

さて。あの終わり方だと、ドラマでの続編、もしくは劇場版をやる気マンマンと言った感じだろうか。
もうあそこまで思い切った感じだと逆に好感が持てる。
内容もしっかり面白かったしね。

拝金主義と言う勿れ。
なお

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